国鉄2850形蒸気機関車

国鉄2850形蒸気機関車

国鉄2850形蒸気機関車は、1897年に日本に導入されたタンク式の蒸気機関車です。本車両は、鉄道院および国鉄の前身である鉄道省に在籍していました。アメリカのピッツバーグ・ロコモティブ・アンド・カー・ワークスから輸入されたもので、着目すべきは、そのユニークな特長と日本の鉄道史における重要性です。

設計と構造

この蒸気機関車は、動輪の直径が1,321mmで、車軸配置が2-6-0（1C）という構造を持っています。2気筒単式の飽和式デザインで、スチーブンソン式の弁装置が採用されていました。他のタンク機関車と比較すると、その車軸配置は珍しく、特にテンダー機関車では一般的なスタイルです。日本国内では、鉄道院2800形や2820形と似たデザインが存在しますが、2850形は背部に従輪がないことから、炭庫や水槽の容量が限られ、バランスが取れにくいという特性も持っていました。また、後進時に動揺が強くなるのも特徴の一つです。

外観においては、運転室や水槽、炭庫などには装飾帯金が施されており、特有の曲線美が視覚的インパクトを与えます。ピッツバーグ社がデザインした一般的なモデルとは異なり、ブルックス社製の蒸気機関車に似た形状をしていますが、空気制動機が装備されていないため、長い間原型を留めた姿でありました。

主要諸元

• - 全長: 8,690mm
• - 全高: 3,569mm
• - 全幅: 2,337mm
• - 軌間: 1,067mm
• - 車軸配置: 2-6-0 (1C)
• - 動輪直径: 1,321mm
• - シリンダー: 330mm×559mm
• - ボイラー圧力: 9.8kg/cm²
• - 機関車整備重量: 34.06t

運転と経歴

2850形は伊賀鉄道のために発注されましたが、同鉄道が開業することなく、1899年には阪鶴鉄道に引き取られ、2850形（2851、2852）と改編されました。以降、いくつかの鉄道管理局に所属しながら運行されましたが、1923年に2851が廃車。その後、相次いで他の車両も廃車となり、最終的にはさまざまな鉄道企業に譲渡された経緯があります。特に、播丹鉄道に引き取られた2851号は、国有化後も使用され続けましたが、最終的には1965年に廃車されました。また、2850号や2852号もそれぞれの運命を辿りました。

保存と同形機

2850形蒸気機関車は、1969年に品川区の東品川公園に保存されており、現在も見学できる状態です。さらには、台湾総督府鉄道でも10形に類似したモデルが製造されています。これらの機関車は、国際的な鉄道技術の流れや、日本と台湾の歴史における重要な視点を提供しています。

結論

国鉄2850形蒸気機関車は、その独特の設計と運命を持つ一台として、日本の鉄道史に深く根付いています。この機関車の物語は、技術と文化、そして人々の努力の歴史の一端を反映しています。

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