国鉄3080形蒸気機関車

3080形蒸気機関車の概要

3080形は、1888年に日本国有鉄道の前身である鉄道作業局に導入されたタンク式蒸気機関車です。この機関車は、イギリスのナスミス・ウィルソン社から輸入されたもので、特に勾配区間の運行に適した設計がされています。

設計と特徴

3080形の車軸配置は2-6-2(1C1)となっており、2気筒の単式ボイラーを備え、飽和式で運行されます。その後、車両番号は102、104に改番され、さらに1894年にAB形（74、76）として分類されました。鉄道院の新しい規則に従い、1909年に3080形（3080、3081）に改称されました。

この機関車の形状は、当時のイギリスの古典的なスタイルを踏襲しており、特に勾配線区用に設計された中で日本最大級のものでした。側水槽は運転室まで達する大きなもので、運転室の後方には炭庫が設けられています。ただし、炭庫の奥行は浅く、その後運転室側に拡張されました。

また、3080形は、蒸気ドームが第2缶胴の上に位置し、砂箱が煙室の覆いと側水槽の間、および運転室の床下に取り付けられています。特筆すべき点は、真空制動機が日本の機関車として初めて装備されていることです。この特徴によって安全性と運行の効率が大幅に向上しました。火室はベルペア式の広火室を持ち、特に勾配区間での運行に適した設計がなされています。

この機関車は、フランシス・ヘンリー・トレビシックによって基本設計がなされたと考えられており、後に勾配線区用のタンク機関車として大規模に生産されたB6形の原型とされています。さらに、これを基に神戸工場で製造されたB7形にも影響を与えました。

運行履歴と廃車

3080形は、鉄道作業局時代に信越線で運用されていましたが、その後の具体的な運行履歴は明らかではありません。しかし、1916年には中部鉄道管理局の管轄で両機共に廃車となりました。その後、機関車は民間に払い下げられました。

3080はその年9月には美唄鉄道に移送され、ここでも同じ番号で使用され続けました。この機関車は1927年から1932年にかけて、大夕張炭礦専用鉄道の建設作業に利用され、その工事が終わると美唄鉄道に戻りましたが、最終的に1932年に廃車となりました。

一方の3081は1917年に小倉鉄道へ移管され、同社の機関車番号11として1934年まで使用されたと言われています。

主要なスペック

• - 全長：10,452mm
• - 最大幅：2,311mm
• - 全高：3,658mm
• - 車軸配置：2-6-2(1C1)
• - 動輪直径：1219mm
• - シリンダーサイズ：406mm×559mm
• - ボイラー圧力：9.8(11.2)kg/cm²
• - 機関車整備重量：47.64t
• - ブレーキ装置：手ブレーキ、真空ブレーキ

3080形は日本の蒸気機関車史において重要な位置を占めており、その設計や機能は今でも多くの鉄道ファンや研究者によって評価されています。

もう一度検索