国鉄417系電車

国鉄417系電車の概要と特徴

国鉄417系電車は、1978年に日本国有鉄道（国鉄）によって設計された交直流型の近郊電車です。この電車は、普通列車の電車化を推進するために開発され、3両編成で構成される5本、総計15両が製造されました。全ての日立製作所によって製造され、1987年の国鉄分割民営化時には、全車両が東日本旅客鉄道（JR東日本）に引き継がれました。また、本記事では、阿武隈急行がJR東日本から購入したA417系電車についても取り扱います。

目的と背景

1970年代、日本の地方都市圏において人口が増加し、通勤や通学のニーズが高まっていました。このため、従来の客車列車では乗降に時間がかかり、運用効率に課題が残っていたのです。地元からはサービスの向上を求める声が上がり、次第に動力の近代化が要求されるようになりました。この背景から、地方の気候や路線事情に適応可能な新しい電車の設計が求められ、本系列が開発されたのです。

当時、既に415系電車が北九州地区などに投入されていましたが、寒冷地での運用やホームの高さに適応できる設計には限界がありました。これらの課題を解決するため、国鉄417系は新たな設計思想に基づいて開発されました。

車両の設計

国鉄417系は、落成当初、キハ47形気動車の構造に似たデッキなしの片側2扉構造で設計されていました。前面デザインは、急行・近郊形電車に共通するパノラミックウインドウを採用し、運転台も強化されていました。また、客用扉は自動・半自動の切り替えが可能で、操作は任意の運転台から行えるようになっています。

内装面では、固定式クロスシートとロングシートを組み合わせた構造が採用されています。このシート配置により、居住性が向上し、定員も増加しました。温暖化や冷房装置の必要性を鑑み、冷房装置の搭載も計画されましたが、初めは経済的な理由から設置が見送られた経緯があります。

機関構造

417系は、DT32F形とTR69J形の空気ばね台車を採用し、乗り心地の改善が図られました。主電動機はMT54E形を使用し、制御装置にはCS43A形を搭載しています。冷暖房装置の電源供給や、急勾配区間での運行に対応するため、多様な機能が搭載されています。

運用の経緯

製造された417系は、仙台運転所に配置され、主に東北本線で運用されていました。特に「仙台シティラビット」の快速運転に使用され、地元住民からも親しまれていました。また、JR化後も運用が続き、営業運転開始から多くの更新や機能試験が行われました。最終的には新型車両に取って代わられる形で、2007年に定期運用が終了しました。

その後、一部の編成は阿武隈急行に譲渡され、改造を経て同社の運用に生かされました。このように、国鉄417系電車は地域交通の発展に寄与し続け、日本の鉄道史において重要な役割を果たしました。

もう一度検索