国鉄5160形蒸気機関車

5160形蒸気機関車について

5160形は、日本の鉄道史において重要な役割を果たしたテンダ式蒸気機関車であり、元々は日本国有鉄道の前身である鉄道作業局、鉄道院、鉄道省に在籍していました。この機関車は1897年と1898年にアメリカ・ブルックス・ロコモティブ・ワークスで製造されました。製造番号2878から2897までの計20両が生産され、車軸配置は2-4-0（2B）形の2気筒単式機関車として設計されました。

最初はAP形と呼ばれ、番号は252から271までのものが割り当てられましたが、1909年の鉄道院による形式称号規程の改正により、5160形（5160 - 5179）に再編成されました。この機関車のデザインはアメリカの古典形式を基にしており、曲線的なラインを持つ大型の運転室や独特な前端梁、細い煙突など、ブルックス製蒸気機関車の特徴が色濃く反映されています。

機関車のボイラはストレートトップ型であり、砂箱や蒸気ドーム、安全弁、汽笛が各所に配置されています。その炭水車は、アメリカ製にしては珍しく、3軸固定式で設計されています。運行は米原を中心に東海道線の西部で行われましたが、鉄道院に転換された後は、和歌山線や桜井線などのローカル線でも使用されました。

後に5160形は、岡山や福岡県の行橋などでも入換用として活用されましたが、1924年4月には全車が使用を停止され、同年5月から翌年の4月にかけて廃車が進められました。その中の5176号は、教習所の教材として保存されていましたが、戦時中の空襲によって焼損し、最終的には解体される運命を辿りました。

主要諸元

• - 全長: 14,174mm
• - 全高: 3,696mm
• - 全幅: 2,286mm
• - 軌間: 1,067mm
• - 車軸配置: 4-4-0(2B)
• - 動輪直径: 1,370mm
• - 弁装置: スチーブンソン式アメリカ型
• - シリンダー（直径×行程）: 381mm×559mm
• - ボイラー圧力: 11.3kg/m2
• - 火格子面積: 1.41m2
• - 全伝熱面積: 92.8m2
• - 煙管蒸発伝熱面積: 84.7m2
• - 火室蒸発伝熱面積: 8.1m2
• - ボイラー水容量: 3.4m3
• - 小煙管（直径×長サ×数）: 45mm×2,888mm×210本
• - 機関車運転整備重量: 32.71t
• - 機関車空車重量: 28.65t
• - 機関車動輪上重量（運転整備時）: 21.43t
• - 機関車動輪軸重（第1動輪上）: 11.02t
• - 炭水車重量（運転整備時）: 24.02t
• - 炭水車重量（空車）: 11.49t
• - 水タンク容量: 10.90m3
• - 燃料積載量: 3.56t

機関車性能

• - シリンダ引張力: 5,630kg
• - ブレーキ装置: 手ブレーキ、真空ブレーキ

このように5160形は、日本の蒸気機関車の中でも特異な存在であり、多くの鉄道愛好家や歴史研究者にとって興味深い対象です。

もう一度検索