国鉄5950形蒸気機関車

5950形蒸気機関車

5950形は、日本の鉄道史において重要な役割を果たした蒸気機関車の一つです。かつて日本国有鉄道の前身である鉄道院および鉄道省に所属していたこの機関車は、1898年にアメリカのロジャーズ社で製造され、初めて日本の山陽鉄道に導入されました。彼らは当初11両（製造番号5233 - 5243）を発注し、これは4-4-0（車軸配置）で、2気筒単式の飽和式テンダ機関車として設計されました。

製造の背景

山陽鉄道での形式番号は13形であり、番号は71から81までが付与されました。1906年に山陽鉄道が国有化された際には、しばらくの間そのままの形式番号が使われましたが、1909年には新しい形式称号規程が施行され、5950形（5950 - 5960）として改められました。

設計と特性

5950形は、特に急行列車の牽引に向けて設計されており、直径1524mmの動輪を持っています。その形状は、アメリカの古典的な機関車スタイルを踏襲したもので、ボイラーはワゴントップ形状をしています。第一缶胴には砂箱が設けられ、第三缶胴の上には蒸気ドームが配置されています。また、火室の上には台座付きの安全弁が取り付けられています。同時期に製造された14形（後に鉄道院8400形となる）と炭水車は、基本的に同一の設計がなされていますが、同じ時期にボールドウィン社で製造された12形（後の鉄道院5900形）とは、詳細な寸法にいくつかの違いがあります。

運用と配属

5950形は山陽本線に配属され、その後大正中期には総武本線や房総線にも転属されました。これにより、さまざまな路線での運用が行われ、地域の鉄道輸送を支えました。しかし、全ての5950形は1922年に廃車となり、その役目を終えました。

主要諸元

• - 全長: 14,478mm
• - 全高: 3,696mm
• - 全幅: 2,629mm
• - 軌間: 1,067mm
• - 車軸配置: 4-4-0(2B)
• - 動輪直径: 1,524mm
• - シリンダー（直径×行程）: 381mm×559mm
• - ボイラー圧力: 10.2kg/cm²
• - 火格子面積: 1.23m²
• - 動輪上重量（運転整備時）: 22.76t
• - 炭水車重量（運転整備）: 24.67t

また、機関車の性能はシリンダ引張力が4,620kgで、ブレーキ装置には手ブレーキと真空ブレーキが採用されていました。これらの設計により、5950形は当時の鉄道輸送において非常に効果的な機関車であったといえるでしょう。

参考文献

• - 臼井茂信「国鉄蒸気機関車小史」1958年、鉄道図書刊行会刊
• - 臼井茂信「日本蒸気機関車形式図集成」1969年、誠文堂新光社刊
• - 臼井茂信「機関車の系譜図 2」1972年、交友社刊
• - 金田茂裕「形式別 国鉄の蒸気機関車 III」1978年、エリエイ出版部 プレス・アイゼンバーン刊
• - 金田茂裕「日本蒸気機関車史 私設鉄道編 I」1981年、エリエイ出版部 プレス・アイゼンバーン刊

5950形は、日本の鉄道史の中で独自の地位を築いた機関車であり、そのデザインや性能は当時の技術の結晶でした。

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