国鉄6500形蒸気機関車

6500形蒸気機関車の概要

6500形は、関西鉄道によって導入されたテンダー式の蒸気機関車であり、1898年と1906年にアメリカのピッツバーグ社から購入された計9両の機関車のことを指します。この機関車は、当時の関西本線の開通に合わせて急行列車の運行を開始するために必要不可欠な存在でした。形式40「早風」に基づいて、最初の6両は製造番号1771から1776までが付けられ、その後の増備分は107から109にかけて新たに付けられました。

設計と特徴

関西鉄道における汽車課長、島安次郎の指導のもとで設計された6500形は、当時稀に見る動輪径1,575mmの大きさと2シリンダ複式エンジンを採用していました。この設計により、性能は非常に高く、アメリカの古典的な蒸気機関車スタイルを踏襲しながらも独自の美しさが表現されていました。外観にはストレート形のボイラーや深いつばを持つ煙突、細長い蒸気ドームや砂箱などが組み合わさり、ピッツバーグ社製の特徴が色濃く反映されています。

特に、煙室扉の周囲のデザインや動輪の強化処理は、品質の高さを示しています。複式エンジンの導入は、石炭の消費を削減する効果がありましたが、その扱いには熟練した技術を必要としました。プラットフォームや平坦な線路条件が整った名古屋 - 亀山間での運行が、複式機関車の強みを生かす土壌となりました。

官設鉄道への編入

1906年の鉄道国有法に基づき、6500形は官設鉄道へと編入され、正式に6500から6508番までの番号が与えられました。主に関西本線の亀山と王寺に配備され、平坦な線区での運行に従事しました。しかし、高度な技術を要する複式エンジンは、時に扱いにくさを伴い、すぐに運用から外される運命を辿ります。最終的に、1925年には全車両が廃車解体され、その姿を消しました。

主要諸元

全長: 14,405mm
全高: 3,658mm
軌間: 1,067mm
車軸配置: 4-4-0 (2B)
動輪直径: 1,575mm (5'2")
弁装置: スティーブンソン式アメリカ形
シリンダ: 高圧432mm×610mm、低圧635mm×610mm
ボイラー圧力: 12.7kg/cm²
火格子面積: 1.23m²
全伝熱面積: 97.0m²
煙管蒸発伝熱面積: 89.8m²
火室蒸発伝熱面積: 7.2m²
ボイラー水容量: 3.1m³
小煙管: 44.5mm×2,821mm×228本
機関車運転整備重量: 40.61t
機関車空車重量: 36.98t
機関車動輪上重量: 24.58t
機関車動輪軸重: 12.32t
炭水車運転整備重量: 22.21t
炭水車空車重量: 13.61t
水タンク容量: 9.08m³
燃料積載量: 1.02t

機関車性能

6500形の機関車が持つシリンダ引張力は、単式時に約7,800kg、複式時には5,330kgです。このような性能を背景に、当時のデザインと技術が一体となり、6500形は鉄道の歴史において特異な存在となっています。

参考文献

様々な著作がこの6500形の歴史や技術的な背景を詳しく述べています。臼井茂信の「日本蒸気機関車形式図集成」や金田茂裕の「日本蒸気機関車史 私設鉄道編 I」などが、特に貴重な情報源となっています。

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