国鉄713系電車

713系電車の概要

713系電車は、日本国有鉄道（国鉄）が設計し製造した交流専用の近郊型電車であり、1983年に初めて導入されました。国鉄分割民営化の際には、全車両が九州旅客鉄道（JR九州）に引き継がれました。この電車は、特に交流電化区間での輸送の効率化を目的として開発されましたが、製造された車両は試作車的な位置付けとなり、4本の2両編成のみ、計8両が製造されました。

技術の特長

713系の大きな特長は、初めて国鉄の電車に採用された交流回生ブレーキです。このブレーキシステムは、省エネルギーを実現するために必要不可欠なもので、後にJR九州が導入した783系特急電車での技術にも活かされました。また、この設計に基づいた技術が、阿武隈急行8100系電車にも活用されています。

開発の背景

交流電化区間での電車の合理化が求められる中、国鉄の専用電車として711系などが開発されていましたが、713系は特に勾配対策として抑速ブレーキや回生ブレーキの搭載が必要でした。一般的な抵抗制御では、発電ブレーキが困難になるため、交流専用車両には独自のブレーキシステムが求められました。675n年には、交流回生ブレーキの研究が始まり、1981年には711系での現車走行試験が実施されるなど、急速な技術開発が進められました。

量産計画の頓挫

1982年には約80両の製造が計画されていましたが、財政的な理由から量産が困難となり、最終的には「試作編成」として4編成のみが製造される結果となりました。この経緯により、713系は当初の計画と異なり、わずかな数の車両で運用されることになりました。

車両の特性

713系は25‰の勾配に対応した性能を持つことが求められ、1M2Tの編成が基本でしたが、実際には1M1Tとして編成されました。ローカル輸送に必要な運行信頼性を確保しつつ、高い速度での運行が可能な設計となっています。また、冷房を搭載しており、快適な移動を提供します。

車体設計

713系の車体は普通鋼をベースにしたもので、新製コストを抑えることが考慮されています。外装は耐候性鋼板を使用し、腐食対策も施されています。側面の扉は低床ホームにも対応したデザインとなっています。

内装

車内はセミクロスシートが採用され、快適な環境での乗車が可能です。冷房装置も搭載されており、乗客へのサービス向上が図られています。便所も設置されており、快適な乗り心地を提供しています。

運用の変遷

713系は1984年に営業運転を開始しましたが、少数の編成であったため運用範囲も限られていました。その後、1996年には宮崎地区へ転属し、宮崎空港へのシャトル列車として使用されるようになりました。この際、大幅な改装が施され、塗装も変更されました。

まとめ

713系電車は、その限定的な製造数と特殊な技術から貴重な存在の電車です。省エネルギー技術の採用や地域輸送への貢献など、多様な役割を担いながら運用されています。今後、ますますその重要性が再評価されることでしょう。

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