国鉄8380形蒸気機関車

8380形蒸気機関車について

8380形は、かつて日本の鉄道網で活躍したテンダ式蒸気機関車です。日本国有鉄道の前身である鉄道院、そして鉄道省が運用していました。この機関車の元となるモデルは、1900年にアメリカのボールドウィン社で製造され、当初は中国鉄道で活躍していました。ここから8380形の歴史が始まります。

概要と歴史

8380形は、車軸配置が2-6-0（1C）の形式で、2気筒単式の飽和式テンダ機関車です。最初の4両は中国鉄道のために製造され、これにより車両番号18297から18300が割り当てられました。これらの機関車は、山陽鉄道に譲渡され、改称された後、1906年に国有化されました。

国有化の後、8380形は、1909年に制定された鉄道院の車両称号規程によって8380という形式番号が与えられました。形態はアメリカの古典的なデザインを踏襲しており、ボイラーはストレートトップ型という特徴を持っています。煙室や蒸気ドーム、砂箱には独特の構造が施されており、特にドームと砂箱は3ピース構造となっています。これにより、8350形とは異なるデザインが際立っています。

8380形蒸気機関車は、山陰線や舞鶴線の運行に使用され、京都と福知山、新舞鶴間での移動を担っていました。しかし、1922年には廃車となり、解体されることとなります。

一方、残された3両（番号6から8）は引き続き中国鉄道で使用され、1944年に国に買収されたことで国有化され、8360形と改称されました。これらは岡山に配置され、津山線で活躍し続けましたが、1947年と1948年に廃車となり、解体されました。

技術的な特徴

8380形の技術的なスペックには、いくつかの注目すべき点があります。全長は14,605mm、全高は3,658mm、全幅は2,642mmといったサイズを持っています。動輪の直径は1,372mmであり、弁装置はスチーブンソン式アメリカ型を使用しています。シリンダーの直径は406mmで、行程は559mmです。

ボイラー圧力は12.7kg/cm²に設定されており、火格子面積は1.67m²、全伝熱面積は113.2m²となっています。小煙管は232本が組み合わさり、各管の直径は44.5mm、長さは3,200mmです。機関車の運転整備重量は38.70t、空車重量は34.93tと、頑丈な造りを誇っています。

さらに、この機関車は7,250kgのシリンダ引張力を持ち、手ブレーキと真空ブレーキを装備していたため、多様な運行条件に対応可能でした。

参考文献

8380形の詳細について知るための参考文献としては、臼井茂信による「国鉄蒸気機関車小史」や「日本蒸気機関車形式図集成」などがあります。また、金田茂裕の著作も貴重な資料です。これらの資料を通じて、8380形の全貌やその背景をより深く理解することができます。

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