国鉄8450形蒸気機関車

8450形蒸気機関車について

8450形は、かつて日本国有鉄道の前身である鉄道院や鉄道省に属していたテンダ式蒸気機関車です。この蒸気機関車は1893年にアメリカのボールドウィン社で製造され、ドイツの技術をもとに設計されたものであり、特にその形態は典型的なアメリカ古典形として知られています。

機関車の概要

8450形は当初、山陽鉄道のために6両（製造番号13654 - 13659）が製造され、車軸配置は2-6-0（1C）で、ヴォークレイン4気筒複式の飽和式テンダ機関車でした。山陽鉄道内での形式名は5形で、番号は26 - 31が付与されていました。日本国内におけるヴォークレイン複式の採用は、この8450形が初期の例とされています。

機関車のデザインには、ストレートトップ型のボイラー、蒸気ドームや砂箱、その特徴的な煙室の支柱が見られ、全体的にアメリカの古典的な蒸気機関車のスタイルを持っています。炭水車は3軸構造で、後方側は2軸ボギー台車が使われた、片ボギー式となっています。

次の年には7形（後の鉄道院8350形）が登場し、シリンダーや固定軸距、炭水車の寸法など多くの点で共通する特徴を持っていました。この8450形は、1906年の山陽鉄道の国有化によって国有鉄道籍に改められ、その後1909年には8450形（8450 - 8455）に改名されました。

運用歴

この機関車は山陽鉄道の瀬野 - 八本松間の急勾配での使用を主としていましたが、国有化された後は山陰線の豊岡 - 米子間や、山陽線の姫路 - 岡山間で貨物列車の牽引にも使用されました。特に、国有化後は広島 - 柳井津間でも見られました。その性能の高さにより、長期間にわたり活躍しましたが、1925年に廃車となりました。

8450形の炭水車は5両が改造され、後には10t積水運車ミ340形へと転用されました。これらは1928年の規程改正によってミ170形に統合され、ミ172 - ミ176として知られることになりました。

主要諸元

8450形の主要な諸元には、全長14,503mm、全高3,810mm、全幅2,743mm、軌間1,067mm、動輪直径1,372mmなどが含まれます。また、ボイラー圧力は11.3kg/cm2であり、火格子面積は1.86m2、全伝熱面積は92.4m2でした。機関車の運転整備重量は39.90tで、空車重量は36.74t、動輪上重量は34.54tで、動輪軸重は12.40tに達しました。

参考文献

この8450形に関する詳細な情報は、臼井茂信や金田茂裕による蒸気機関車に関する書籍など、複数の文献に記載されています。特に、国鉄蒸気機関車に関する小史や形式図集は、8450形の沿革や技術的特徴を理解する上で非常に有用です。

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