国鉄950形蒸気機関車

950形蒸気機関車の概要

950形は、かつて日本国有鉄道（国鉄）の前身である鉄道院に属していたタンク式蒸気機関車です。この機関車は1895年にアメリカのボールドウィン・ロコモティブ・ワークス社から輸入され、当初は山陽鉄道によって近距離快速運転用として使用されました。1906年に国有化され、鉄道院に編入されました。また、950形の改造によって製作されたテンダー機関車5050形についても、本項で考察します。

機関車の設計と特徴

950形は、兵庫 - 姫路間での実用のために設計された2-4-2（1B1）配置のタンク機関車です。山陽鉄道向けに、ボールドウィン社によって10両（製造番号14781 - 14790）が生産されました。これらは山陽鉄道内では10形（41 - 50）として識別されました。

この機関車の大きな特長は、運転室の背部に独立した炭庫が設けられている点です。運転室の後ろには風除けが取り付けられており、煙突は鋼製のキャップ付きでした。ボイラーの上部には、安全弁と汽笛の両方を設置した蒸気ドームがあり、その前後に砂箱が配置されています。特に側水槽は箱型で、上部には丸みのあるデザインが施されていました。

950形主要諸元

• - 全長: 9,601 mm
• - 全高: 3,581 mm
• - 全幅: 2,591 mm
• - 軌間: 1,067 mm
• - 車軸配置: 2-4-2 (1B1)
• - 動輪直径: 1,524 mm (5ft)
• - 弁装置: スチーブンソン式アメリカ型
• - シリンダー: 356 mm × 508 mm
• - ボイラー圧力: 10.2 kg/cm²

5050形への改造

950形の中で特に51号機は、1899年に事故で廃車され、その後、北越鉄道へ譲渡されました。譲渡先ではボイラーが新造され、運転室と炭庫が結合されて再編成されました。一方、山陽鉄道では50号機の炭庫と側水槽を取り外し、3軸ボギー式の炭水車を接続してテンダー機関車に改造しました。これは中長距離運用を考慮しての変更であったと考えられています。この改造により、同車は形式19とされましたが、正式な改番は行われませんでした。

国有化後、元北越鉄道の958号は中部鉄道管理局で運用されていましたが、後に西部鉄道管理局に移動し城東線の軽旅客列車牽引に使用されました。1931年から1935年にかけて廃車が進みましたが、民間へ払い下げられることや保存されることはなかった様です。

5050形主要諸元

• - 全長: 14,168 mm
• - 全高: 3,581 mm
• - 全幅: 2,591 mm
• - 軌間: 1,067 mm
• - 動輪直径: 1,524 mm (5ft)
• - 車軸配置: 2-4-2 (1B1)
• - ボイラー圧力: 10.2 kg/cm²

結論

950形の設計と経歴は、日本の蒸気機関車開発史において重要な位置を占めています。この形式は時代の変化を受けながらも、そのデザインや機能の適応能力を示しました。改造の過程や引き継がれたエンジニアリング技術は、後の機関車にも影響を与え、魅力的な鉄道の歴史の一部となっています。

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