国鉄C31形コンテナ

国鉄C31形コンテナについて

国鉄C31形コンテナは、日本国有鉄道（国鉄）が1983年から1984年にかけて製造した鉄道輸送用の有蓋コンテナで、その長さは12フィート（約3.66メートル）、積載量は5トンです。このコンテナは、荷主からの柔軟な対応が求められ、多方向から荷役可能な設計が取り入れられています。

背景と製造経緯

国鉄は、荷主からの要望に応じて作業環境を考慮した鉄道コンテナの導入を進めていました。そのため、1983年にC21形コンテナを元にしたモックアップを製作し、検討を重ねた結果、側方からの荷役が容易な「側方総開き式」が採用されました。この設計により、C30形コンテナが製造され、それを基に新たにC31形が開発されました。

新たに製造されたC31形は、側面と妻面に荷役扉を設けた二方開きの構造となっており、全高が僅かに増したことで自重と製造コストの低減も図られました。最終的な製造数は3,500個に達しました。この時点で製造された※750個のコンテナには、固定された常備駅が決められ、その後、特定の駅での運用が行われました。

常備駅の例には、旧・帯広駅や東室蘭駅などがありました。これらの駅に配備されたコンテナは、専用線での荷役に特化した設計がなされています。

その後の運用と廃止

1987年の国鉄分割民営化時には、C31形コンテナの3,497個がJR貨物へと移管され、継続して使用されることとなりました。しかし、1996年度以降、新形の19D形コンテナや19G形が導入され始め、その結果、C31形の使用が徐々に減少し、最終的には2009年に形式消滅を迎えました。

構造と仕様

C31形コンテナは、全体が溶接構造であり、側板と荷役扉にはコルゲート鋼板が使用されています。また、内部は4mm厚の合板で仕上げられており、屋根には耐候性の高張力鋼製の平板を用いることで、耐久性を高めています。

アウトライン寸法は、高さ2,350mm、幅2,438mm、長さ3,658mmで、自重は1.4トン、内容積は17.0立方メートルに設定されています。特筆すべき点は、ドアが270度まで開くことができ、荷役作業中に障害物とならないよう設計されていることです。

塗装とデザイン

C31形の塗装は、C30形を踏襲しており、基本色が「コンテナグリーン」として認識され、さらに二方開きの特徴を示すために赤色の帯が施されています。

このように国鉄C31形コンテナは日本の鉄道貨物輸送において重要な役割を果たし、時代のニーズに応える形で進化してきた歴史があります。

もう一度検索