国鉄C57形蒸気機関車1号機

C57 1：貴婦人の軌跡

C57 1は、西日本旅客鉄道（JR西日本）が動態保存する蒸気機関車で、その優美な姿から「貴婦人」の愛称で親しまれています。日本国有鉄道（国鉄）の前身である鉄道省が製造したC57形蒸気機関車のトップナンバー機であり、数奇な運命を辿ってきました。

現役時代の活躍

1937年3月に川崎車輛で製造されたC57 1は、水戸機関区に配属され、東北本線などを走行しました。1945年には宇都宮機関区で空襲に遭い損傷するも、戦後も総武本線や羽越本線で活躍を続けました。新津機関区時代には、雪除けの屋根延長や白線が入れられるなど、独特の姿となりました。

1961年、羽越本線で急行「日本海」を牽引中に土砂崩れに遭遇し大破。しかし、トップナンバー機であることや機関車不足、ボイラーの状況などが考慮され、異例の修復を受けました。この際、先輪にC59形廃車発生品が使用された時期もあり、その姿は記録に残されています。 1972年3月には定期列車牽引を終えましたが、同年5月にはお召し列車牽引という栄誉に浴し、その際に特別な装飾が施されました。

SL復活運転の象徴

国鉄からSLが消えた後も、C57 1は梅小路機関車館で大切に保存されました。SL復活への機運が高まる中、1979年に「SLやまぐち号」として復活。山口線での運行は大きな話題を呼び、現在に至るまで多くのファンを魅了し続けています。運行開始当初は集煙装置と重油タンクが搭載されていましたが、近年は集煙装置を取り外した姿で運行されることが多くなっています。

度重なる困難と修繕

C57 1は、その長い歴史の中で数多くの故障や困難に直面してきました。「SLやまぐち号」復活後の1985年には、国鉄最後の解体修繕が行われ、全国から部品が集められました。1995年の阪神・淡路大震災では、鷹取工場で被災し大破しましたが、近隣に保存されていたC57 5から部品を流用するなどして修復されました。2005年から2006年にかけても全般検査が行われ、徹底的な修繕により寿命が延ばされました。2020年にはシリンダートラブルで運行不能となり、現在は梅小路運転区で全般検査を受けています。

臨時列車としての活躍

「SLやまぐち号」や「SL北びわこ号」以外にも、C57 1は各地で様々な臨時列車を牽引しました。「SLときめき号」や「SLみよし号」、「SL大社号」など、その活躍は多岐にわたり、各地の鉄道ファンを沸かせました。

C57 1は、単なる蒸気機関車ではなく、日本の鉄道史における貴重な文化遺産です。数々の困難を乗り越え、現在もその美しい姿を私たちに見せてくれるC57 1の今後の活躍に、期待が高まります。

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