国鉄DD91形ディーゼル機関車

DD91形ディーゼル機関車：国鉄試作機の挑戦

DD91形ディーゼル機関車は、日本国有鉄道（国鉄）が1960年代初頭に試用した液体式ディーゼル機関車です。国鉄によるディーゼル機関車の開発が盛んに進められていた時期に、国内メーカーが技術開発と国鉄への売り込みを目的に設計・製造した機関車の1つとして誕生しました。

高性能エンジンと複雑な伝達機構

DD91形の最大の特徴は、西ドイツのマイバッハ社製MD870形ディーゼルエンジンです。このV型16気筒エンジンは、1820馬力を発揮する高出力エンジンで、当時、スペイン国鉄やイギリス国鉄でも採用されるなど、国際的に高い評価を得ていました。

動力伝達には、同じく西ドイツのメキドロ社製液体変速機K184U形を採用。これは、単一のコンバーターを介して4段のギアに動力を伝える複雑なシステムで、従来の国鉄ディーゼル機関車が採用していたシステムとは大きく異なるものでした。自動車のオートマチックトランスミッションに似た構造を持ち、衝撃吸収機構も備え、スムーズな加減速を実現していました。

車体構造と運用

車体は箱型で貫通構造ではありませんでした。軸重軽減のため、車体中央に1軸の付随台車を配置するなど、設計には工夫が凝らされています。また、旅客列車牽引に対応するため、客車暖房用の蒸気発生装置も搭載されていました。

1962年に新三菱重工業で製造されたDD91形は、福知山機関区に配置され、山陰本線と福知山線の旅客列車牽引に使用されました。その運用実績は、約3年間でした。1965年には国鉄に返却されました。

技術的遺産

DD91形は、国鉄に正式採用されることはありませんでしたが、その技術は後のDD54形ディーゼル機関車の開発に大きな影響を与えました。特に、西ドイツ製の主要部品は、DD54形では国内メーカーによるライセンス生産されるなど、技術移転の面でも重要な役割を果たしたと言えるでしょう。

主要諸元

DD91形は、短期間の運用でしたが、高度な技術を搭載した試作機として、日本のディーゼル機関車技術の発展に貢献したと言えるでしょう。その設計思想や技術は、後の国産ディーゼル機関車の開発に大きな影響を与え、日本の鉄道技術向上に貢献しました。

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