国鉄ED10形電気機関車

国鉄ED10形電気機関車の概要

国鉄ED10形電気機関車は、日本国有鉄道の前身である鉄道省によって1922年に輸入された直流用の電気機関車です。ED10形は1925年に製造され、アメリカのウェスティングハウス・エレクトリックとボールドウィンの協力により、乾燥した東海道本線の電化用に2両が造られました。

初期の歴史と製造

当初、ED10形は1000形（1000・1001）として知られていましたが、1928年に車両形式称号規程が改正された際に現在の形式に変更されました。この車両の開発は、当時の鉄道の電化が進んでいた背景に加え、日本国内での電気機関車のニーズが高まっていたことを反映しています。

機構と設計

ED10形は、全体的に箱形の車体を持ち、前後にデッキが設けられています。このデッキによって、車両間の出入りが容易でした。また、車両中央部にも出入口が設置されており、利便性が考慮されています。さらに、前面の窓下には砂箱が配置され、屋根上には大形のパンタグラフが一基取り付けられていました。元々は、架線電圧が600Vおよび1,200Vに対応する複電圧仕様でしたが、国鉄の廃車時にはパンタグラフが変更され、2基に増設されていました。加えて、通風口や側面窓のデザインも改善されました。

運用の歴史

運用開始当初は、ED10形は山手線や中央本線で使用されました。その後、1,500Vの電圧に昇圧されたことで、東海道本線でも運用されるようになりました。最後に運用されたのは横須賀線で、1959年に1号機が、1960年には2号機が廃車となりました。ただし、2号機は西武鉄道に譲渡されてE71形に改称され、貨物列車の牽引に使用されることとなります。譲渡の際に車体の塗装が変更され、国鉄時代のぶどう色からローズレッドに変わりました。1986年には新たに導入されたE31形により、E71形も廃車となりました。

保存状況

現在、ED10 2号機は西武鉄道の横瀬車両基地で静態保存されています。この際に車体の塗装は再び国鉄時代のぶどう色に復元され、ナンバープレートもED10 2として整備されました。ED10形は日本の鉄道史における重要な遺産であり、その存在は多くの鉄道ファンにとっての貴重な記憶となっています。

まとめ

国鉄ED10形電気機関車は、単なる輸入車両に留まらず、日本の鉄道の発展に寄与した重要な存在です。その特徴的なデザインや、運用の変遷は、歴史的な価値と共に今も多くの人々に語り継がれています。

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