国鉄ED14形電気機関車

国鉄ED14形電気機関車

国鉄ED14形[電気機関車]]は、鉄道省（後の日本国有鉄道）がアメリカのゼネラル・エレクトリック]社から輸入した直流[[電気機関車です。輸入当初は1060形と称されていました。この機関車は、ED11形に続く輸入機として、1926年（大正15年）に4両が導入されました。電気部分と機械部分の両方をGE社が一貫して製造しています。しかし、2019年3月までに全車が解体され、現存する車両はありません。

構造

ED14形は、箱型の車体両端に乗務員用デッキを備えた、ED11形とよく似た外観を持っています。車体は多数のリベットで接合されており、「田の字形」の側窓が特徴です。これらの窓は、後に横桟が撤去されたり、窓桟自体が取り外されたりと、各車両で差異が見られます。初期の前面には砂箱と短い梯子が設けられていましたが、後に砂箱が台車部分に移設され、梯子も撤去されました。前面窓も横幅が広げられ、より見通しの良い形状に変更されています。

台車の構造はED11形とは異なり、2つの台車を中間連結器で連結し、車体を経由せずに牽引力を伝達する方式が採用されました。このため、ED11形では連結器が車体に取り付けられているのに対し、ED14形では台車に取り付けられているという違いがあります。

運用

国鉄時代

製造当初、ED14形は東京機関区に配置され、東海道本線の貨物列車に使用されました。その後、1930年（昭和5年）には甲府機関区に転属し、中央本線の八王子 - 甲府間で運用されました。戦後には一時的に豊橋機関区に移り、飯田線で使用されましたが、1950年（昭和25年）には作並機関区に転属し、仙山線の作並 - 山寺間で活躍しました。

1960年（昭和35年）には、ED17形や新製配置のED60形に置き換えられ、全4両が休車となりました。2号機と3号機はこの時点で除籍され、近江鉄道に譲渡されました。3号機は、近江鉄道の親会社である西武鉄道に一時的に貸し出された後、近江鉄道に渡っています。1号機と4号機は、仙山線の変電所容量不足によりED60形が転出したため、再び仙山線で使用されましたが、1966年（昭和41年）に除籍され、2号機、3号機と同様に近江鉄道に譲渡されました。

近江鉄道時代

近江鉄道では、譲渡されたED14形は石灰石や石油貨物列車に使用されました。しかし、軸重が15tもあるため、犬上川に架かる鉄橋の重量制限により、運用区間は多賀 - 米原間に限定されていました。主に多賀 - 彦根間の石灰石輸送に使用されましたが、1988年（昭和63年）までに貨物列車が廃止されたため、本来の目的を失いました。

その後も、1号機と4号機はイベントや除雪作業、構内入換などの事業用として使用されました。2012年時点では車籍を保持していましたが、4号機は故障により休車となっていました。2号機と3号機は、使用されることなく彦根工場内で長期休車となっていましたが、2004年（平成16年）7月1日付けで廃車されました。

外観は、1号機から3号機は近江鉄道の標準色である水色に塗装され、4号機は国鉄時代の茶色塗装に復元されました。

しかし、ATSの装備が困難、部品調達の問題、車体重量の問題、電気機関車の運転に必要な資格を持つ社員の減少などの理由から、事実上本線走行は困難な状態でした。

2007年（平成19年）3月からは、彦根駅に整備された近江鉄道ミュージアムに展示されていましたが、2018年12月8日の閉館に伴い、2019年1月に2号機と4号機が、3月に1号機がそれぞれ解体場へ陸送され、ED14形は完全にその姿を消しました。

主要諸元

全長：11,200mm
全幅：2,740mm
全高：3,912mm
運転整備重量：59.97t
電気方式：直流1500V（架空電車線方式）
軸配置：B+B
台車形式：イコライザ付板台枠式
主電動機：MT8形(244kW)×4基
歯車比：16:69=1:4.31
1時間定格出力：975kW
1時間定格引張力（全界磁）：11,600kg
1時間定格速度：30km/h
最大運転速度：65km/h
動力伝達方式：歯車1段減速、吊り掛け式
制御方式：非重連、抵抗制御、2段組み合わせ制御、弱め界磁制御
制御装置：電磁空気単位スイッチ式
ブレーキ方式：EL14A空気ブレーキ、手ブレーキ
制御回路電圧：100V

参考文献

交友社『鉄道ファン』1963年5月号（通巻23号） 日高冬比古 JNRの電気機関車2 ED11・ED14

外部リンク

近江鉄道（ED14形の紹介ページあり）

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