国鉄ED70形電気機関車

国鉄ED70形電気機関車

国鉄ED70形電気機関車は、1957年に日本国有鉄道（国鉄）によって導入された交流用電気機関車です。これは、日本初の量産型の交流電気機関車であり、特に北陸本線の田村から敦賀間の交流電化に伴い製造されました。ED70形は、広報資料において「世界で初めての60サイクル交流電化」を謳っており、その革新性が際立っています。

登場に至る背景

当初、北陸本線の電化工事は直流方式で計画されていましたが、仙山線で行われた実験を経て交流電化の方が実用的であるとの判断がなされ、単相交流20 kV、商用周波数60 Hzに変更されました。これを受けて、仙山線で使用されていた試作機ED45形を基に、ED70形が開発されました。

構造とデザイン

ED70形のデザインは、当時のDF50形ディーゼル機関車のスタイルを踏襲し、前面貫通形を採用しています。ただし、後に貫通扉はすきま風の防止のために埋め込まれました。車体側面には、規定の数の機器室採用用ガラス窓が設置され、通風用のルーバーも含まれています。

性能と技術

ED70形の基本構造は試作機のED45 1に似ており、大容量かつ高出力化されています。これによって、10 ‰の勾配でも1,000トン以上を牽引する性能を持っています。この機関車は、営業運転の実施にあたり、試験的要素が多く含まれており、従来のD51形蒸気機関車が担当する300トンの旅客列車を500トンに拡大し、貨物列車も700トンから1,000トンへと引き上げることに貢献しました。

駆動方式に関しては、クイル式が採用されており、主電動機はばね上に装架されています。整流器にはイグナイトロン水銀整流器が使われており、制御方式は低圧タップと水銀整流器タップ間の連続電圧制御が採用されていました。とはいえ、ED70形は試作機であるため、整流器トラブルや空転の問題など多くの課題を抱えていました。後の19号機では、これらの問題に対処するためにさまざまな改良が施されました。

製造と運用

ED70形は、1957年の間に18両が製造され、その後1959年に改良型の19号機が追加されました。これらは三菱電機および新三菱重工業によって製造されました。運用される場所は主に北陸本線であり、電化区間の延伸に伴い活躍し続けましたが、その後、高出力のEF70形およびED74形が投入されると、ED70形の主要な運用は旅客・荷物列車へとシフトしました。

廃車と保存

1974年に湖西線が直流電化されたことにより、北陸本線は交直流電気機関車へのシフトが進んでいきました。そのため、1975年には全車が廃車となります。ただし、1号機は唯一の現存機であり、静態保存されています。これにより、ED70形の歴史を今に伝えています。

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