国鉄EF60形電気機関車

国鉄EF60形電気機関車について

国鉄EF60形電気機関車は、1960年に日本国有鉄道によって開発された直流電気機関車で、特に平坦な路線での運用を想定しています。1958年に登場したED60形・ED61形を受け継ぎつつ、出力の向上と小型化を実現した点が大きな特徴です。

開発の背景

1958年に登場したED60形とED61形は、当時初めての新形直流機関車でしたが、その出力は390 kWのMT49形電動機を使用しており、EH10形とほぼ同等の出力を持ちながらも、よりコンパクトな設計へと進化させたのがEF60形の理念です。このように開発されたEF60形は、特に貨物列車の牽引力と運行の効率向上に寄与しました。

構造と外観

EF60形の車両は、デッキのない箱形車体を採用しており、使用用途が貨物に特化しているため、列車暖房用の設備は搭載されていません。また、外観デザインでは、最初は0番台はぶどう色2号の一色塗装、500番台は青15号とクリーム1号の配色でしたが、1965年からは全機が青15号とクリーム1号に統一されました。

形態区分

1960年から1964年にかけて、0番台129両と寝台特急用の500番台14両、計143両が製造され、それぞれに製造時期に基づく構造の違いが見られます。先行試作車には特異な点があり、比較試験が行われた結果、量産車が生産される基礎データとなりました。

駆動方式の変遷

EF60形の駆動方式は、初期のクイル式から後に吊り掛け駆動方式へと改良され、また使用された主電動機も出力向上が図られています。これにより、高速性能向上を図ったものの、トラブルが多発し、結果として運用に支障が出ることもありました。

運用状況と改造歴

製造当初は、EF60形は東海道・山陽本線の高速貨物列車や寝台特急の牽引に用いられましたが、その後は主に一般貨物列車で運用され、1970年代からは首都圏でも見かけることが多くなりました。1980年代には老朽化が進み、さらに貨物列車の削減により淘汰が進行し、最終的には1986年に全車が廃車となりました。

昇給構造の改造としては、EF61形電気機関車への改造や、EF67形基本番台への改造があり、それぞれ運用上のニーズに応じた形で活用されました。

現在の状況

国鉄時代の実績を受け継ぎ、現在では動態保存車両が少数存在しており、特にEF60 19は臨時運用に使われることが多く、さまざまな記念イベントに参加しています。一方で500番台は営業用としての使用はなくなり、保存車両としての役割を担っています。

これらの歴史を通じて、EF60形は日本の鉄道輸送における重要な存在として、多くの運転士や鉄道ファンに記憶されています。

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