国鉄EF63形電気機関車

国鉄EF63形電気機関車の概要

国鉄EF63形電気機関車（こくてつEF63がたでんききかんしゃ）は、日本国有鉄道（国鉄）が開発した直流電気機関車です。この機関車は、碓氷峠専用の補助機関車として設計されており、特に急勾配の区間での牽引力に優れています。このため、愛称として「峠のシェルパ」や「ロクサン」とも呼ばれています。さらに、最大勾配68‰を有する信越本線の横川 - 軽井沢間において、効率的な運行を実現するために重要な役割を果たしました。

開発背景

EF63形は、信越本線の急勾配区間での効率的な運行を目的として1940年代に設計されました。当初は、ラック式鉄道で運行されていましたが、経済復興とともに粘着運転への移行が決定されました。そのため、新たな機関車が必要となり、EF60を基にして開発が進められました。この開発により、長年にわたりED42が牽引していた碓氷峠専用の運行が、一新されることになったのです。

構造と特徴

EF63形は、EF62とは異なる特化した設計を持ち、特に急勾配の運行に対応するための多くの独自装備を備えています。運転操作は、下り列車ではプッシュプル運転、上り列車では協調運転が行われるため、運行の安全性も非常に高いです。また、前面には貫通扉が設けられ、乗務員の移動が容易に行えます。

本機関車の主電動機は高出力のMT52形直流直巻電動機を採用しており、強力な牽引力を確保しています。制御装置には、従来の方法から新しい電動カム軸式の自動進段抵抗制御器が搭載されているため、勾配区間での運行においてもスムーズな操作が可能です。

保安装置

EF63形は、先進的な保安装置を備えています。勾配区間特有のリスクに対応するため、発電ブレーキや電磁吸着ブレーキを実装し、急勾配でも確実に制動力を発揮できる設計となっています。これにより、運行中の安全性が向上し、乗客や貨物を安全に運ぶための安心感が提供されています。

運用状況

EF63形は常に2両でペアを組み、横川 - 軽井沢間を通過するすべての列車に連結されます。このため、他の形式の機関車とも連結し、効率的な輸送を保っています。運用中は、各種信号の確認や連絡が重要な役割を果たし、運転士の緊密な連携が求められます。

沿革と保存

EF63形は、1963年に営業運転を開始し、1987年に横川運転区に転属されました。その後の需要増加に応じて、数回にわたり増備が行われ、最終的に製造された車両はすべて99年には廃車されました。現在では、数両が碓氷峠鉄道文化むらで保存されており、その歴史を今に伝えています。特に、動態保存されているEF63形は、運転体験を通じて鉄道ファンに人気を集めています。

結論

国鉄EF63形電気機関車は、信越本線の急勾配区間で不可欠な存在であり、その特性を生かした設計や運用によって、多くの人々に支持されてきました。近年では、その歴史や技術が評価され、保存活動が行われています。

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