国鉄EF64形電気機関車

国鉄EF64形電気機関車

国鉄EF64形電気機関車は、日本国有鉄道（国鉄）が1964年に開発した直流電気機関車で、特に勾配線区での運用に向けた設計が施されています。1960年代の国鉄における電気機関車の進化に合わせて登場し、当時の需要に応じた性能を持っています。

開発背景

EF64形の開発は、国鉄の大型機関車の近代化に起因しています。1960年に完成したEF60に続き、本線用の機関車としてEF61、EF62、EF63が登場しましたが、これらは平坦路線向けの設計が主でした。そのため、中勾配区間を持つ路線での牽引に特化した新たな機関車が必要とされていました。特に、奥羽本線の板谷峠や中央本線の中勾配区間において、発電ブレーキを装備した機関車の必要性が高まり、EF64形が1964年に登場しました。これにより、79両の基本番台が製造され、1980年代初頭には設計変更が加えられた1000番台も登場しました。

機構と仕様

EF64形は、勾配線での運用に特化した設計がなされています。車体はEF62・EF63と似た前面貫通形状ですが、窓部分の傾斜がなく、印象が異なるデザインになっています。塗装は、青15号を基本とし、前面下半部はクリーム色が配されています。これは、従来のぶどう色に代わって新たに採用されたもので、以降の直流新形電気機関車にも継承されました。

機関の配置は「Bo-Bo-Bo」の3台車で構成され、軸重を重視した設計となっています。制御方式には直列、直並列、並列の3段組み合わせ制御が採用され、発電ブレーキも装備されています。これにより、勾配区間での運用能力が向上しています。主[[電動機]]にはMT52が用いられ、長時間運転に耐える高出力を実現しています。

番台別の概要

EF64形は、基本番台と1000番台に分かれています。基本番台は79両が製造され、特に勾配線用に設計されています。台車はEF70の設計を基にしており、抵抗器の放熱効率を考慮した設計もされています。

一方、1000番台は1970年代末に開発され、EF64の中でも最後の直流電気機関車として位置付けられています。主に上越線や高崎線で活躍し、特に豪雪地帯での運用に対応した新設計が施されています。防雪対策として、機器室の配置や塗装に工夫が凝らされており、国鉄の機関車としての特徴的なデザインを持っています。

運用実績

国鉄時代からJR発足後にかけて、EF64形は多くの路線で運用されました。初期の機関車は主に奥羽本線の急行列車牽引に使われ、徐々に他の線区に転配されていきました。特に上越線では客車列車や貨物列車の牽引に用いられ、その後の民営化後もJR貨物やJR東日本に所属し、貨物運送の要として利用されました。

近年では、運用が減少し、2024年には営業運転が終了する見込みとなっており、EF64形も老朽化が進んでいますが、長い歴史を持つ機関車として、多くの鉄道ファンに愛され続けています。

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