国際ピアノコンクール・ハエン賞

国際ピアノコンクール・ハエン賞（Concurso Internacional de Piano «Premio Jaén»）は、スペイン南部アンダルシア州の都市ハエンで毎年開催されている国際的なピアノコンクールです。

概要

1956年に創設されて以来、特別な事情がない限り毎年欠かさず開催されています。2004年には、国際芸術連盟（AAF）と世界国際音楽コンクール連盟（WFIMC）という二つの主要な組織に同時に加盟し、注目を集めました。

国際的なピアノコンクールの多くが参加者集めに苦労する傾向にある中、ハエン賞は近年、毎年多くの意欲ある音楽家を引きつけています。特に2024年の大会では、棄権者24名を除く72名が参加登録し、非常に高い競争率となりました。ただし、過去には参加者数が減少した時期もありました。例えば2019年には、課題曲の難易度が参加希望者にとって極めて高かったためか、応募者数が一時的に減少したことがありました。

参加規定では、J.S.バッハから現代に至る幅広い時代の作品が求められるほか、著名な室内楽曲や協奏曲の演奏も含まれています。特に、自由に選曲できる機会が第一次予選の1回のみに限られている点は、現代の多くのコンクールに見られる傾向とは異なり、比較的珍しい特徴といえるでしょう。

また、他の主要な国際コンクールとは異なり、スペインの近代および現代作品をそれぞれ1曲ずつ演奏することが必須となっています。この独自の要件により、国際的な知名度がまだ高くない新たな才能が注目されやすい土壌が生まれています。一般的に、国際的なピアノコンクールでは経験豊富な参加者が有利とされる傾向がありますが、ハエン賞では国際的な舞台での実績がほとんどなかった挑戦者が優勝を果たすことも少なくありません。年齢制限は上限が32歳と定められている一方で、下限は設けられていません。そのため、例えば16歳5ヶ月で優勝したアナスタシア・リジコフ氏のような若き才能が頂点に立つ例も見られます。

このコンクールの大きな魅力の一つは、優勝者にNAXOSレーベルからのCDリリースが約束されている点です。これにより、「ハエン・シリーズ」として多くの録音が世に送り出されています。

課題曲として毎年委嘱される新作は、近年、より調性感を持ち、ピアニスティックな書法を取り入れた、演奏しやすい傾向の作品が増えていると言われています。

現在、コンクールでは複数の賞が授与されます。主な賞として、第一位、第二位、第三位のほか、室内楽賞、新作委嘱作品賞、Rosa Sabater賞、そして聴衆賞があり、合計7種類です。特筆すべきは、室内楽賞、新作委嘱作品賞、Rosa Sabater賞の三賞は、必ずしもファイナル進出者に限らず授与される点です。この規定により、2024年の大会では、聴衆賞を除く六つの賞全てが異なるピアニストに贈られるという、史上初の出来事となりました。

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