国際刑事法

国際刑事法とは

国際刑事法（International Criminal Law）は、外国性を有するか国際的な起源を持つ犯罪に関する法規の集合体です。この法律は、犯罪の罪刑に関する基準やその処罰に関するルールを定めています。国際的な法規が適用される場面には、国際犯罪があたります。

国際犯罪の分類

国際犯罪は、大きく分けて二つのカテゴリーに分けられます。一つは「外国性を有する犯罪」で、これは国内の法律によって定義され、処罰される犯罪です。もう一つは「国際法上の犯罪」で、こちらは実定国際法、つまり条約や慣習国際法によって直接定められる犯罪を指します。この二つのカテゴリーの他にも、国際法が各国に国際的基準を持った国内刑法を設けることを義務づけている「諸国の共通利益を害する犯罪」といった広範な概念も存在します。

国際法上の犯罪

「国際法上の犯罪」の中でも、特に重要な犯罪として「中核犯罪」があります。これには、国際刑事裁判所（ICC）の管轄下に置かれる犯罪が含まれます。具体的には、以下の4つの犯罪が中核犯罪として認識されています。
1. ジェノサイド罪 - 集団の一部または全部を意図的に滅ぼす行為。
2. 人道に対する罪 - 大規模に人々の基本的人権を侵害する犯罪。
3. 戦争犯罪 - 戦争の文脈において、国際人道法に違反する行為。
4. 侵略の罪 - 他国への武力侵攻を含む行為。

これらの犯罪は、国際社会全体にわたって重大な影響を及ぼすため、国際法による厳重な取り締まりが求められています。国際刑事法は、こうした犯罪が発生することを防ぐための国際的な枠組みを提供し、加害者の責任を追及するためのルールを定めているのです。

国際刑事法の意義

国際刑事法は、単に犯罪を定義し処罰するだけでなく、国際社会の平和と秩序を維持するためにも重要です。国家や個人が国際犯罪を犯した場合には、国際刑事裁判所がその責任を追及し、正義を実現する役割を果たしています。これにより、国際社会が共通の価値観を持ち、人道的な原則を守ることが期待されています。

参考文献

• - 森下忠『刑法適用法の理論』（成文堂、2005年）
• - 中谷和弘/山口厚編『融ける境 超える法② 安全保障と国際犯罪』（東京大学出版会、2005年）
• - 安藤泰子『国際刑事裁判所の理念』（成文堂、2002年）
• - 山本草二『国際刑事法』（三省堂、1991年）
• - CASSESE(Antonio), International Criminal Law, Oxford, Oxford University Press, 2003.
• - SALMON(Jean)(dir.), Dictionnaire de droit international public, Bruxelles, Bruylant/AUF, 2001.
• - ASCENSIO(Hervé)/DECAUX(Emmanuel)/PELLET(Alain), Droit international pénal, Paris, Pedone, 2000.

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