国際水路機関

国際水路機関（IHO）の概要

国際水路機関（IHO）は、安全で円滑な航海を支援するため、1967年に設立された国際機関です。モナコに本部を置き、世界中の水路機関と連携して活動しています。IHOの主要な活動は、水路図誌の標準化、水路情報の共有、海図作成技術の向上、そして水路学の研究開発です。各国水路機関の連携強化にも力を入れており、国際的な協力体制の構築に貢献しています。

IHOの前身は、1921年に設立された国際水路局（IHB）です。モナコ大公アルベール1世の招聘によりモナコに本部が置かれ、当初は18ヶ国が加盟していました。その後、1970年にIHOとして再編され、現在ではより多くの国が加盟し、グローバルな組織として発展を遂げています。

IHOの主要な活動

IHOは、航海安全に資する様々な活動を行っています。具体的には、以下の様な活動が挙げられます。

水路図誌の標準化: 世界共通の表記や記号を用いた水路図誌の作成を推進することで、航海者の混乱を防ぎ、安全性を高めています。
水路情報の共有: 各国が収集した水路情報を共有・交換することで、より正確で最新の情報を航海者に提供しています。
海図作成技術の向上: 最新技術を活用した海図作成技術の開発・普及により、高精度な海図の作成を支援しています。
水路学の研究開発: 水路学に関する研究を進めることで、航海安全に繋がる新たな技術や知識の創出に貢献しています。
海洋境界の定義: 『大洋と海の境界』（S-23）という刊行物を通じて、世界の海洋境界を明確に定義し、国際的な合意形成を図っています。この刊行物は英語、フランス語、スペイン語で発行されています。
国際水路会議の開催: 5年に一度、国際水路会議を開催し、加盟国間の意見交換や協力体制の強化を図っています。

日本海呼称問題

IHOが発行する『大洋と海の境界』（S-23）の第3版（1953年策定）では、日本海は「Japan Sea」と表記されています。しかし、韓国は「東海（トンへ）」併記または変更を求めており、長年に渡る国際的な議論となっています。

1997年以降、韓国はIHOに対して「日本海」の名称を「東海」に変更するよう繰り返し要求してきました。韓国側の主張は、歴史的・地理的根拠に乏しいとして、日本は強く反論しています。

2002年には、IHO理事会が一時的に日本海に関する記述を空白にする案を提示しましたが、多くの反発を受け、撤回されました。現在に至るまで、日韓両国の意見は一致しておらず、S-23の第4版改訂は遅れています。日本海は「Japan Sea」として単独表記された第3版が維持されている状況です。

2002年に作成されたS-23第4版草稿では、日本海に割り当てられるコードは7.6でしたが、該当ページは空白のままとなっています。このことは、日本海呼称問題の複雑さと、国際的な合意形成の難しさを象徴的に示しています。

世界水路の日

IHOは、水路業務の重要性を啓発するため、6月21日を「世界水路の日」と定めています。これは、IHOの設立日を記念したものであり、世界各国で様々なイベントが開催されています。

まとめ

IHOは、航海の安全と円滑化に重要な役割を果たす国際機関です。その活動は、海図の標準化から海洋境界の定義、そして国際的な協力体制の構築まで多岐にわたります。日本海呼称問題のように、国際的な合意形成が難しい課題にも取り組んでおり、今後もその活動に注目が集まります。

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