国際財務報告基準

国際財務報告基準（IFRS）とは

国際財務報告基準（International Financial Reporting Standards、IFRSs）とは、国際会計基準審議会（IASB）によって設定される会計基準です。IASBの前身である国際会計基準委員会（IASC）が設定した国際会計基準（International Accounting Standards、IAS）も、広義にはIFRSに含まれます。

IFRSの構成要素

IFRSは、以下の要素から構成される会計基準群の総称です。

国際会計基準（IAS）
解釈指針委員会（SIC）解釈指針書等
国際財務報告基準書（IFRS）
国際財務報告基準解釈指針委員会（IFRIC）解釈指針

このうち、IAS及びSIC解釈指針書等は、IASCからIASBへ基準設定機関としての機能とともに承継されたものです。一方、IFRS書及びIFRIC解釈指針は、IASBによって設定された会計基準です。

世界的な適用状況

2005年からEU域内の上場企業に対して、欧州委員会が認めたIFRS（EU会計基準）が強制適用されています。また、EU域内の外国上場企業は、本国の会計基準がIFRSと同等でない場合、2009年以降、IFRSの適用が強制されます（いわゆる2009年問題）。

中国では2007年からIFRSとの同等性を意識した企業会計準則が適用されており、資産負債アプローチを採用し、損益計算書を廃止して業績報告書を導入する予定です。

IFRSの読み方

IFRSのカタカナ語読みは「イファース」と「アイファース」の2つが一般的です。IASBではIFRSを「アイエフアールエス」または「イファース」と読んでいます。IFRS財団のYoutubeチャンネルでは、英語圏で「アイエフアールエス」と発音されています。

IFRSの基準項目

IFRSには、多くの基準項目が存在します。

国際財務報告基準書（IFRS）
IFRS 1 国際財務報告基準の初度適用
IFRS 2 株式報酬
IFRS 3 企業結合
(その他多数)
国際財務報告基準解釈指針委員会解釈指針（IFRIC）
IFRIC 1 廃棄、原状回復及びそれらに類似する既存の負債の変動
IFRIC 2 協同組合に対する組合員の持分及び類似の金融商品
(その他多数)
国際会計基準（IAS）
IAS 1 財務諸表の表示
IAS 2 棚卸資産
IAS 7 キャッシュ・フロー計算書
(その他多数)

日本におけるIFRSの採用

2007年8月、企業会計基準委員会はIASBと会計基準のコンバージェンスに合意し、2011年6月までに日本基準と国際会計基準の違いを解消することを発表しました（東京合意）。

2009年6月、金融庁企業会計審議会は、一定の要件を満たす企業に対し2010年3月期の年度から国際会計基準による連結財務諸表の作成を容認する方針を示しました。

各国のIFRS適用状況

各国でIFRSの適用状況は異なっています。

インド: 2011年4月1日以降にIFRS基準を採用予定
ブラジル: 2010年までに連結財務諸表をIFRSに準拠して作成予定
韓国: 2011年までに上場会社にIFRSを義務付ける予定
米国: SECがIFRSを適用している外国企業が米国上場に際し作成が要求される米国基準への差異調整表を廃止することを認める規則を公表。2009年から一部の米国国内企業に対してIFRSの適用を認め、2014年からは順次IFRS採用を義務付けていく方向性

日本の会計基準との主な違い

日本の会計基準はアメリカの条文主義を基礎としているのに対し、IFRSはイギリスの原理原則主義を基礎としています。IFRSでは、原則に沿う限り各社で会計方針や会計処理が異なることが許されます。

具体的な違いとしては、のれんの償却方法、開発費の処理、棚卸資産の評価方法、投資不動産の評価方法、償還義務のある優先株式の扱い、転換社債型新株予約権付社債の処理、実質支配の要素、子会社等の取得や売却の処理、決算日の異なる子会社の連結、社債発行費等の処理、有給休暇引当金、ファイナンス・リースの処理、退職給付債務の評価方法、退職給付会計の過去勤務費用、繰延税金資産の回収可能性などが挙げられます。

会計基準のコンバージェンス

企業会計基準委員会（ASBJ）と国際会計基準審議会（IASB）は、日本基準と国際会計基準とのコンバージェンス（収れん）への取組みを行っています。また、国際会計基準審議会（IASB）と米国財務会計基準審議会（FASB）は、IFRSと米国会計基準のコンバージェンスについて合意しています（ノーウォーク合意）。

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