国際連合アフガニスタン・パキスタン仲介ミッション

国際連合アフガニスタン・パキスタン仲介ミッション（UNGOMAP）とは

国際連合アフガニスタン・パキスタン仲介ミッション（United Nations Good Offices Mission in Afghanistan and Pakistan, UNGOMAP）は、国際連合平和維持活動（PKO）の一つであり、アフガニスタンにおける和平プロセスを支援するために設立されました。

主な任務は、1988年に調印された和平協定に基づき、アフガニスタンに駐留していたソ連軍の撤退を検証すること、およびアフガン難民の帰還を支援することでした。このミッションは、ソ連軍の撤退監視という重要な役割を担いましたが、難民帰還という課題には十分に対応できませんでした。

背景

1979年のソ連軍によるアフガニスタン侵攻は、長きにわたる紛争の始まりでした。冷戦の終結に向けた国際的な動きの中で、ソ連軍の撤退が検討されるようになり、1988年2月にはジュネーブで国際会議が開催されました。

同年4月14日、ソ連、アフガニスタン、パキスタン、アメリカ合衆国の間で、ソ連軍の撤退とアフガン難民の帰還に関する協定が調印されました。この協定の主な内容は以下の通りです。

1989年2月15日までにソ連軍が完全撤退すること
アフガン難民の自由かつ自発的な帰還を認めること
* アフガニスタンとパキスタンが相互に干渉しないこと

UNGOMAPの設立と活動

国際連合事務総長は、この合意を受けて、ソ連軍の撤退を検証するための国際連合平和維持活動の設立を決定しました。当初は、国際連合休戦監視機構（UNTSO）と国際連合レバノン暫定駐留軍（UNIFIL）から一時的に軍事要員が派遣され、1988年4月25日から現地での監視・検証活動を開始しました。

その後、1988年10月31日の国際連合安全保障理事会決議622号により、正式に国際連合アフガニスタン・パキスタン仲介ミッション（UNGOMAP）が設立されました。

UNGOMAPは、約5万人の規模であったソ連軍の撤退状況を監視し、撤退後の駐屯地などを視察することで、撤退が協定通りに行われているか検証しました。また、難民の帰還支援においては、国際連合難民高等弁務官事務所（UNHCR）と協力し、活動を進めました。

活動の終了

1989年2月15日、ソ連軍はアフガニスタンから完全に撤退し、UNGOMAPによる撤退検証は順調に完了しました。しかし、難民の帰還は進展せず、アフガニスタンの国内情勢も不安定な状態が続きました。

このため、UNGOMAPの活動期間は延長されましたが、アフガニスタンの混乱は収まらず、難民帰還も進まない状況が続きました。最終的に、安全保障理事会で活動期間の更なる延長に対する関係国の同意を得ることができず、1990年3月にはUNGOMAPの活動は停止されました。

まとめ

UNGOMAPは、ソ連軍の撤退監視という重要な役割を果たしたものの、アフガン難民の帰還という課題に対しては十分な成果を上げることができませんでした。このミッションは、国際連合平和維持活動の限界と、紛争解決の難しさを改めて示す事例となりました。

外部リンク

United Nations Good Offices Mission in Afghanistan and Pakistan

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