国際連合事務総長

国際連合事務総長

国際連合事務総長は、国際連合の事務局を代表する役職であり、国際連合の6つの主要機関の一つに所属しています。この役割は、国際連合憲章第15章に明記されていますが、事務総長の選考方法や能力については、多くが慣習に依存しており、解釈の余地が存在しています。

概要

事務総長の職務は多岐にわたり、国際連合内部の管理や加盟国間の紛争への調停、さらには国際問題についての発言も含まれます。このため、事務総長は国際連合における最高の立場にあり、世界で最も困難な職務の一つとされています。初代事務総長のトリグブ・リーは事務総長について「世界で最も困難な仕事」と表現しました。

選出と任命

事務総長は、安全保障理事会からの推薦を受けて、国連総会によって任命されます。常任理事国はその指名に対して拒否権を行使できるため、このプロセスは非常に重要です。適任者に関する明確な基準はないものの、過去の例から非公式なガイドラインが形成されてきました。

事務総長の候補者には、常任理事国からの国民は選ばれないという慣例があります。また、女性の事務総長はいまだに存在しません。このような背景から、安全保障理事会での選考は不透明であり、しばしばローマ教皇のコンクラーベに例えられることもあります。1981年以降、非公式な調査や投票が実施されており、最終的な候補者を総会に勧告する流れとなっていますが、これまでに候補者が否認された例はありません。

2016年には新たに、公募を行った上で候補者が出席する公聴会を開催し初めて透明性を高める試みがなされました。これによって選ばれた第9代事務総長は、アントニオ・グテーレスです。しかし、最終候補の選定は依然として非公開で行われているため、一部は不満を表明しています。

任期

任期自体の明記は国際連合憲章にはありませんが、1971年以降は全ての事務総長が5年の任期を追っています。多くの事務総長は2期目の選考を受けており、過去にはアメリカの拒否権が影響した例も見られます。任期制限は1981年に制定され、第三期の選任を試みる事務総長はいない状況にあります。第3代のウ・タントは、特例として10年以上在任した唯一の人物でもあります。

権限と義務

事務総長は、国際連合の最高行政府責任者とされ、多様な役割を担っています。国際連合憲章が規定するように、国際平和や安全を脅かす事例は安全保障理事会に報告する義務があります。また、日常的には事務局の業務を監督したり、国際問題についての協議を行っています。年次報告書を発行し、国連システム事務局長調整委員会の議長を務めることもその重要な責務です。

さらに、事務総長は加盟国の間の紛争調停という重要な役割を果たしており、これにより「世界の司会者」として認識されています。中東戦争の休戦推進やイラン・イラク戦争の停戦交渉など、歴代の事務総長たちは多くの重要な局面で活躍してきました。

公邸

事務総長の公邸はニューヨークに位置しており、1921年に建設されたタウンハウスです。この建物は、1972年に国際連合に寄贈され、事務総長の公式な居住地となっています。

国際連合の事務総長は、その職務を通じて国際社会に影響を与える存在であり、各国の政策にも深く関与しています。

もう一度検索