国際連合保護軍

国際連合保護軍（UNPROFOR：United Nations Protection Force）は、1990年代のユーゴスラビア紛争において、旧ユーゴスラビア領域に展開された国際連合の平和維持活動です。1992年2月21日の国際連合安全保障理事会決議743に基づいて設立され、紛争の鎮静化と人道支援を目的として活動しました。

活動の経緯

当初、UNPROFORの主な任務は、クロアチアにおけるクロアチア軍とセルビア人勢力との停戦監視、および国連保護区（UNPA：United Nations Protected Areas）の非武装化と治安維持でした。紛争の激化とともに、活動範囲は拡大していきます。

1992年6月29日には、国際連合安全保障理事会決議761により、人道支援物資の供給を目的として、サラエヴォ空港への展開を開始しました。ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争が深刻化すると、UNPROFORはボスニア・ヘルツェゴビナ域内にも部隊を展開し、人道支援と紛争の抑制に努めました。

さらに、1992年12月からは、ユーゴスラビア連邦共和国のマケドニア共和国（現在の北マケドニア）にも予防展開を行いました。これは、紛争が周辺地域に波及するのを防ぐための措置でした。

活動の終結とその後

UNPROFORは、1995年3月に組織改編が行われ、以下の3つの組織に分離しました。

国際連合クロアチア信頼回復活動（UNCRO）
ボスニア・ヘルツェゴビナの国際連合保護軍（UNPROFORを改組）
マケドニアの国際連合予防展開軍（UNPREDEP）

その後、デイトン合意に基づき、ボスニア・ヘルツェゴビナにおける治安維持は、北大西洋条約機構（NATO）を中心とした和平履行部隊（IFOR：Implementation Force）が担当することになりました。これに伴い、UNPROFORは1995年12月20日をもって任務をIFORに移行し、活動を終了しました。

UNPROFORの評価

UNPROFORは、紛争の激化を食い止め、人道支援を行う上で一定の役割を果たしました。しかし、紛争当事者間の対立を根本的に解決することはできず、多くの課題を残しました。特に、スレブレニツァの虐殺を防げなかったことは、国際社会に大きな衝撃を与え、国連の平和維持活動のあり方について再考を促す契機となりました。

関連事項

平和安定化部隊（SFOR）：IFORの後継としてボスニア・ヘルツェゴビナに展開したNATO主導の部隊。

外部リンク

* UNITED NATIONS PROTECTION FORCE

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