園部三郎

園部三郎は、1906年（明治39年）9月25日に東京で生まれ、1980年（昭和55年）5月25日に肺がんのため73歳で亡くなった日本の音楽評論家です。

東京外国語学校仏語科を卒業後、音楽評論家として活動を始めました。彼の評論は、音楽の本質を深く掘り下げ、社会や文化との関連性を考察するものでした。

特に、ショパンの研究においては、その業績が国際的に高く評価されています。1971年には、ポーランド政府から文化功労章を授与されました。このことは、彼の研究が単なる音楽評論の枠を超え、文化交流にも貢献したことを示しています。

園部三郎は、音楽に関する多数の著書を発表しています。その内容は、音楽史、音楽理論、音楽教育、さらには民衆音楽や歌謡史にまで及んでいます。代表的な著書には、『音楽と生活』、『民衆音楽論』、『音楽史の断章』、『音楽の階級性』、『音楽五十年』、『音楽の歴史とその巨匠たち』、『愛と真実の肖像 ショパン評伝』などがあります。これらの著作は、音楽を社会現象として捉え、その歴史的背景や文化的意義を明らかにするもので、音楽への深い洞察と社会に対する鋭い視点が示されています。

また、園部三郎は、音楽教育にも熱心に取り組みました。幼児教育における音楽の重要性を早くから提唱し、『幼児と音楽 なにが大切なのか』などの著書を通じて、子どもたちの音楽教育のあり方を問いかけました。また、『下手でもいい、音楽の好きな子どもを』などの著書では、音楽を専門家だけでなく、すべての人々が楽しめるものであるべきだと主張しました。音楽教育を通して、子どもたちの感性を育み、豊かな人間形成に貢献したいという彼の強い思いが伝わってきます。

1984年には、彼が生前に編集委員を務めていた平凡社の『音楽大事典』（全6巻）が完結しました。この事典は、音楽に関する包括的な知識を提供し、音楽研究や教育に大きな影響を与えました。園部三郎の多岐にわたる業績は、音楽評論家、教育者として、日本の音楽文化の発展に大きく貢献したと言えるでしょう。

彼の著作は、今もなお、音楽を愛する人々、音楽を学ぶ人々にとって、貴重な知識と洞察を与え続けています。

主な著書

『音楽と生活』中央公論社、1942年
『民衆音楽論』三一書房、1948年
『音楽史の断章』三一書房、1948年
『音楽の階級性』ナウカ社、1950年
『音楽五十年』時事通信社、1950年
『音楽の歴史とその巨匠たち』東和社、1951年
『愛と真実の肖像 ショパン評伝』和光社、1954年
『演歌からジャズへの日本史』和光社、1954年
『ショパン』講談社、1956年
『東ヨーロッパ紀行 音楽・民族・社会』平凡社、1956年
『日本民衆歌謡史考』朝日新聞社、1962年
『幼児と音楽 なにが大切なのか』中央公論社、1970年
『下手でもいい、音楽の好きな子どもを』音楽之友社、1975年
『子どもをテレビからとりもどせ！』音楽之友社、1976年
『日本人と音楽趣味』大月書店、1977年
『おとなはみな子どもの時を忘れている 教育についての対話』音楽之友社、1978年
『ショパン その愛と生涯』日本放送出版協会、1979年
『自立せよ、音楽教育』音楽之友社、1980年

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