土倉庄三郎

土倉庄三郎：吉野林業の先覚者、教育・自由民権運動への貢献

土倉庄三郎（1840年5月11日 - 1917年7月19日）は、日本の林業家であり、奈良県の多額納税者でした。明治時代の吉野林業、ひいては日本林業全体の発展に大きく貢献した人物として知られています。

生涯と業績

土倉庄三郎は、大和国吉野郡大滝村（現在の奈良県吉野郡川上村大滝）で、林業家の長男として生まれました。家業を継いだ後、吉野材木方総代を務めるなど、地域社会で重要な役割を果たします。

明治維新後には、吉野川の木材流下に関する紀州藩の口銭徴収に反対し、その廃止を実現させました。また、吉野川の水路改修や東熊野街道（現在の国道169号の一部）の開設にも尽力するなど、地域インフラの整備に貢献しました。

林業家としては、吉野郡内で広大な山林経営を手がけ、伝統的な山林培法による造林に力を注ぎました。その事業は吉野地方にとどまらず、静岡県天竜川流域、群馬県伊香保、兵庫県但馬地方、滋賀県西浅井町など、各地で造林事業を展開しました。また、奈良公園の森林改良にも携わるなど、その功績は多岐にわたります。

教育への貢献

土倉庄三郎は教育にも熱心であり、私財を投じて地元川上村に奈良県初の小学校を開設しました。さらに、同志社大学や日本女子大学の創設に際して多額の設立基金を寄付するなど、物心両面から日本の教育を支援しました。

自身の子どもたちの教育にも力を入れ、多くを同志社に通わせています。次女のマサは、同志社女学校を卒業後、アメリカのブリンマーカレッジに留学するなど、国際的な視野を持つ女性として育成されました。

自由民権運動との関わり

土倉庄三郎は、明治10年頃から自由民権家と交流し、中島信行の遊説を支援するなど、自由民権運動のパトロンとして知られるようになりました。近畿自由党の結成に参加し、日本立憲政党新聞への出資も行いました。板垣退助や大隈重信など、自由民権運動の指導者たちとも親交があり、彼らの活動を資金面から支えました。

その他の交流

景山英子、金玉均、新島襄など、様々な分野の人々と交流がありました。彼の元には、伊藤博文、井上馨、山縣有朋などの要人も訪れました。

死後

2016年には、川上村で百回忌法要と没後100年記念式典が開催され、その功績が改めて称えられました。式典では、同志社大学や日本女子大学の関係者から、土倉庄三郎の教育への貢献に対する感謝の意が述べられました。

家族

長男の鶴松、二男の龍治郎（実業家）、長女の登美（原六郎の妻）、二女の満佐（内田康哉の妻）など、多くの子どもたちがいます。孫には、カルピス食品工業社長を務めた冨士雄や、ロサンゼルスオリンピック代表の陸上競技選手である田島直人の妻、麻がいます。

土倉庄三郎は、林業家としてだけでなく、教育者、自由民権運動の支援者として、多岐にわたる分野で日本の近代化に貢献した偉人です。彼の功績は、今もなお語り継がれています。

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