土台人

土台人：北朝鮮の対日工作における影の協力者

北朝鮮による対日工作において、重要な役割を果たす存在として「土台人」と呼ばれる者たちがいます。彼らは、北朝鮮の工作員が日本国内で活動するための拠点、いわば「足場」となる協力者です。古くから、各国は自国民のネットワークを諜報活動に利用しており、北朝鮮も例外ではありません。特に、歴史的背景から在日朝鮮人が多く住む日本において、この手法は有効だと考えられています。

土台人の選定と獲得

北朝鮮は、経済的に安定しており、社会的地位が高く、情報収集に有利な立場にいる人物を土台人として選定します。彼らの持つ「利用価値」を「土台性」と呼びます。対象となるのは、パチンコ経営者、飲食店経営者、中小企業経営者など、経済的に余裕のある在日朝鮮人、特に特別永住者です。親族が北朝鮮に在住していることも重要な要素です。

朝鮮総連関係者も土台人になる可能性は否定できません。公安の監視が厳しい現役活動家は警戒されますが、過去には元構成員や元教職員が土台人として逮捕・国際手配される事例が出ています。さらに、帰国した在日朝鮮人の配偶者である日本人や、親北朝鮮的な市民団体関係者なども、潜在的な土台人として警戒されています。

工作員は、まず土台人候補に接近し、北朝鮮に住む親族の情報などを提供することで信頼関係を築きます。その後、態度を一変させ、親族の安全を盾に脅迫し、協力関係を強制します。在日朝鮮人は、自身の身と家族を守るため、やむを得ず工作活動に加担することになります。

土台人の役割と活動

土台人の役割は、工作員にインフラを提供することです。住居や生活費の提供、人脈の活用などを通して、工作活動の基盤を築きます。彼らは、工作員による密入国のための場所の調査、連絡手段の確保、さらには、北朝鮮への禁制品輸出などにも関与することがあります。

中には、直接的に工作活動に関わる者もいます。例えば、工作員同士の連絡役を務めたり、拉致対象者の選定に関わったりすることもあります。元自衛隊関係者からは、国内に多数の土台人が存在し、拉致や物資輸送に関与していると指摘されています。また、朝鮮半島有事において、暗殺、拉致、重要施設攻撃など様々なテロ活動の拠点となりうるという懸念も示されています。

「救う会」や特定失踪者問題調査会は、日本国内に約5000人の土台人が存在し、暴力団や左翼団体と連携して活動していると推定しています。拉致事件の実行には、実行犯以外にも多数の協力者が必要であり、地元に詳しい土台人が不可欠だとする指摘もあります。公安調査庁も、朝鮮総連に「学習組」と呼ばれる非公然組織があり、密入国や密貿易、拉致などに関係していることを指摘しています。

土台人の関与が明らかな事件例

多くの事件において土台人の関与が疑われています。代表的な例として、日本人拉致事件、密入国、密輸事件、情報収集活動などが挙げられます。

拉致事件: 久米裕拉致事件、ユニバース・トレイディング2児拉致事件、曽我ひとみ・曽我ミヨシ拉致事件、田中実拉致事件など。
諜報事案: 新宿百人町事件、西新井事件など。
* 不正輸出入事案: 北朝鮮へのベンツ不正輸出事件、覚せい剤密輸事件、化学兵器関連物質不正輸出事件、ジェットミル不正輸出事件、タンクローリー不正輸出事件、ぜいたく品不正輸出事件など。

これらの事件は、土台人という影の存在なくしては成し遂げられなかった可能性が高いです。彼らは、北朝鮮による対日工作の成功に大きく貢献している一方、重大な犯罪行為に加担しているという暗い現実を突きつけられています。

まとめ

土台人は、北朝鮮の対日工作において不可欠な存在であり、その活動は日本の安全保障上、深刻な脅威となっています。彼らの存在を理解し、対策を講じることは、日本の安全を守る上で非常に重要です。今後も、土台人に関する情報収集と分析、そして適切な対応が求められています。

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