土屋ジョー

土屋 ジョー（つちや ジョー、1972年12月17日 - ）は、静岡県沼津市に生まれ育った、日本のリングでキックボクシング、そしてプロボクシングという二つの異なる競技に挑んだアスリートである。特に、日本人キックボクサーとしては稀有なケースであるプロボクシングへの挑戦を果たしたキャリアは特筆される。前人未到とも言える9つの王座、そして5つの階級での頂点を極めた多冠王として知られる。現役時代は、リング入場時には黒いサングラスをかけ、赤いバラを口にくわえるという独特なパフォーマンスで観客を魅了した。引退後は、故郷である沼津市に自身のキックボクシングジム「JT CLUB GYM」を設立し、次世代の育成に情熱を注いでいる。

来歴

アマチュア時代、彼は沼津東高等学校を卒業後、東海大学へ進学。高校時代に極真空手を経験し、幾つかの大会で入賞を果たしている。大学では体育会キックボクシング部に所属し、主将も務めた。大学在学中には、谷山ジムに入門し、プロの道を歩み始めた。

プロ転向後、土屋は急速に頭角を現す。1998年1月には、フランスの強豪アントニー・エルカイムとのWKA世界ムエタイバンタム級王座決定戦に臨み、わずか1ラウンド開始45秒での鮮烈なKO勝利を飾り、世界王座を獲得した。このタイトル奪取を記念し、愛車のオレンジ色のベンツに「キックボクサー」の文字を入れるなど、ユニークな一面も見せ、話題を呼んだ。

同年9月には、異なる団体ながら日本人バンタム級トップ選手であったラビット関と対戦。殺気を帯びた攻撃スタイルで試合を優位に進め、5ラウンド判定勝利を収めた。同年11月、シュートボクシングのリングに上がり、「ムエタイの天才」ランバー・ソムデートM16と対戦。1ラウンドにスタンディングダウンを奪われた後、強烈な右フックを受けKO負けを喫し、世界の壁を実感した。

2000年3月には、WMAF世界スーパーバンタム級王座決定戦でフランスのダニエル・ヤマキと対戦。5ラウンド判定2-0で勝利し、自身二つ目の世界タイトルを手にした。同年5月には、ラビット関との再戦が組まれたが、延長ラウンドの末に判定1-2で惜敗。この試合後、彼は突如としてプロボクシングへの転向を表明した。松島二郎の紹介を経て大橋ジムに入門し、トレーニングを積み、同年8月1日にプロテストに合格し、プロボクサーとしてのキャリアもスタートさせた。

ボクシング挑戦期間中には、試合の対戦相手が相次いでキャンセルとなり、興行が流れるという異例の事態も経験している（2002年10月）。当初予定されていた相手、さらには代替相手までもが出場不可能となるトラブルに見舞われたため、急遽タイの選手とのエキシビションマッチのみを行うこととなった。

その後、再びキックボクシングのリングに戻り、2003年4月には自身の自主興行「JOE TSUCHIYA PRESENTS -REINCARNATION-」を板橋区立産文ホールで開催。メインイベントでハンマーシャーク・カイル・タカオを相手に1ラウンドKO勝利を収め、復帰戦を飾った。

彼は海外のリングにも積極的に参戦した。2003年6月にはアメリカ、オクラホマ州で行われたUKF世界スーパーバンタム級王座決定戦でアレックス・アーネルを1ラウンドKOで下し王座を獲得。さらに2004年9月にはUKF世界フェザー級王座決定戦でジョセフ・アーナルに1ラウンド3ダウンを奪いKO勝利を収めるなど、UKFの世界・USタイトルを複数階級で制覇し、その実力は国内外で高く評価された。タイのパタヤで開催された大会でも2度にわたり王座を獲得するなど、活動の場は多岐にわたった。

戦績

プロキックボクシングでは38戦27勝（21KO）9敗1分1無効試合という高いKO率を誇る戦績を残した。プロボクシングでは4戦2勝2敗の記録がある。

獲得主要タイトル

彼のキャリアを通じて獲得した主要なタイトルは以下の通りである。

全日本キックボクシング連盟バンタム級王座
WKA世界ムエタイバンタム級王座
WMAF世界スーパーバンタム級王座
UKF世界スーパーバンタム級王座
UKF世界フェザー級王座
UKF世界スーパーフェザー級王座
UKF.USライト級王座
2009パタヤシティ58Kg級王座
* 2013パタヤシティ60Kg級王座

現役引退後は、地元沼津市でJT CLUB GYMを開設。自らの豊富な経験と知識を活かし、数多くのプロ・アマチュア選手を育成し、キックボクシングの普及・発展に貢献している。

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