土山茶

土山茶（つちやまちゃ）

土山茶は、滋賀県甲賀市土山町周辺で栽培されている日本茶であり、滋賀県内最大の栽培面積と生産量を誇ります。その歴史は古く、室町時代にまで遡ります。

歴史

土山茶の起源は、1356年に常明寺（現在の土山町）の僧、鈍翁禅師が京都の大徳寺から持ち帰ったお茶の種子を栽培したことに始まると伝えられています。その後、江戸時代になると、永雲寺の僧、天嶺が茶の栽培を奨励し、村人や旅人に分け与えたことがきっかけで、東海道の街道名物「あけぼの茶」として広く知られるようになりました。この「あけぼの茶」が、現在の土山茶の礎となっています。

幕末の開港後、茶は日本の重要な輸出品となり、生糸に次ぐ外貨獲得源となりました。1880年に刊行された「滋賀県物産誌」には、土山茶が県下最大の生産量を誇っていたことが記されています。1881年には、土山村の茶業家によって土山茶会社が設立され、輸出用の紅茶の品質向上と、再製茶の直接輸出販売による経営の安定化が図られました。

特徴

土山茶は、なだらかな丘陵地で、長い日照時間と清らかな水に恵まれた環境で育ちます。その茶葉は、長く分厚い葉肉を持ち、味が濃く、香りが高いのが特徴です。また、同じ茶葉で二煎目もおいしく飲めるのも魅力の一つです。

広報活動

近年、茶農家の高齢化や、新型コロナウイルス感染症の影響による売り上げ減少といった課題に直面しています。このような状況を打開するため、2018年から4年をかけて、新しいブランド「土山一晩ほうじ」が開発されました。この新ブランドは、土山茶の新たな可能性を広げるものとして期待されています。

条例制定

2015年3月5日には、甲賀市議会において、地元産の茶などを信楽焼の器で提供する習慣を広めることを目的とした「甲賀市甲賀の茶及び甲賀の地酒を信楽焼の器でもてなす条例」（通称：おもてなし条例）」が可決されました。この条例は、土山茶をはじめとする地元産品の魅力を発信し、地域経済の活性化につなげることを目指しています。

その他

近年では、土山茶を使ったジェラートやジャム、焼き菓子などのスイーツの販売や、ほうじ茶の専門店が登場するなど、魅力的な商品開発が進められています。これらの取り組みは、若い世代にも土山茶の魅力を伝え、新たなファンを獲得することに貢献しています。

土山茶は、その長い歴史と豊かな自然に育まれた、滋賀県を代表するお茶です。伝統を守りながらも、新しい挑戦を続ける土山茶の今後に、ますます期待が高まります。

関連項目

緑茶
煎茶
玉露
かぶせ茶
抹茶
日本茶
近江の茶

外部リンク

甲賀市土山町大野の茶作唄（揉み唄ー仕上げ） - YouTube

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