かぶせ茶

かぶせ茶とは

かぶせ茶は、日本茶の一種で、煎[[茶]]と玉露の中間的な特徴を持つお茶です。商品名としては、「かぶせ玉露」や「熱湯玉露」として販売されることもあります。このお茶は、栽培方法に大きな特徴があります。

栽培方法の特徴

かぶせ茶は、広義には煎[[茶]]に分類されますが、その栽培方法は煎[[茶]]や玉露とは異なります。共通点として、茶葉を遮光して栽培する覆下栽培が行われます。玉露や碾茶も同様の方法で栽培されますが、遮光期間が異なります。玉露が約20日間、碾茶が約30日間であるのに対し、かぶせ茶は収穫前の1週間程度（3日から10日ほど）と短いです。

また、玉露や碾茶は茶園全体を覆うのに対し、かぶせ茶は茶の木に直接遮光幕をかける方法が一般的です。この直接覆う栽培方法が、「かぶせ茶」という名前の由来になっています。遮光により、渋み成分のカテキンが減少し、旨み成分のテアニンが増加します。さらに、茶葉の色も鮮やかになり、玉露のような覆い香も生まれます。

風味の特徴

かぶせ茶の味は、煎[[茶]]の爽やかさと玉露の旨味を兼ね備えているのが特徴です。淹れ方によって味わいが異なり、熱めの湯で短時間で抽出すると煎[[茶]]に近い爽やかな味に、ぬるめの湯で長時間抽出すると玉露に近い旨味のある味になります。

抽出に適した湯温は、煎[[茶]]と同様の70度から85度程度です。玉露のように冷ました湯で淹れても美味しくいただけます。玉露に似た味わいを持ちながら、玉露よりも高い温度で抽出できるため、「熱湯玉露」という商品名が付けられました。しかし、実際には熱湯で淹れると味が落ちてしまうため注意が必要です。抽出時間は、煎[[茶]]のように熱めの湯を使う場合は煎[[茶]]と同じ時間で、玉露のようにぬるめの湯を使う場合は玉露と同じ時間で抽出するとよいでしょう。

かぶせ茶は、煎[[茶]]と玉露の良いところを両方楽しめるお茶と言えます。

生産状況

平成20年度の農林水産統計によると、かぶせ茶の生産量は年間約4,220トンで、日本茶全体の生産量（約95,500トン）の約4.4％を占めています。県別に見ると、三重県が約1,660トンと圧倒的に多く、全国生産量の3分の1以上を占めています。

その他、福岡県、佐賀県、奈良県、鹿児島県、長崎県、京都府、静岡県などが主な生産地です。特に三重県伊勢地方、中でも四日市市水沢地区が有名です。かぶせ茶は、主に西日本で消費される傾向があり、関東地方ではあまり生産も消費もされていません。

また、二番[[茶]]などでは、旨味を増すためにアミノ酸が添加されることもあります。

三重県における玉露の扱い

2008年、三重県では玉露の生産量が前年の40倍以上になりました。これは、従来の玉露の定義に加え、直接シートをかけて20日程度遮光した茶葉のうち、品質の高いものも玉露と認定したことによるものです。従来かぶせ茶として扱われていたものが玉露として販売されるようになったため、消費者からの混乱を招く可能性が指摘されました。

福岡県、京都府、静岡県の生産団体は、従来の基準通り、玉露と「直接掛け」のかぶせ茶を区別するべきだと反対しました。玉露とかぶせ茶の販売価格には大きな差があり、玉露は100gあたり1,500円から3,000円程度で販売されるのに対し、かぶせ茶はその3分の1程度です。

農林水産省は2009年以降、玉露、かぶせ茶、碾茶を「おおい茶」として一括表示しています。これは、20日前後の直接被覆による栽培方法の扱いが明確化されるまでの暫定的な措置です。

まとめ

かぶせ茶は、栽培方法や風味、生産状況において独特の特徴を持つ日本茶です。煎[[茶]]と玉露の良いところを兼ね備え、様々な淹れ方で楽しめるのが魅力です。西日本を中心に生産・消費されており、特に三重県が主要な産地として知られています。

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