土岐政房

土岐政房（とき まさふさ）

土岐政房は、戦国時代の武将であり、美濃国の守護を務めた人物です。土岐成頼の嫡男として生まれ、初めは頼継と名乗っていました。後に室町幕府8代将軍足利義政から偏諱を受け、政房と改名しました。

生涯

政房は舞の名手としても知られており、応仁の乱を避けて美濃に滞在していた公家の一条兼良も、その舞を日記で称賛しています。しかし、土岐氏の嫡男でありながら、父の成頼は弟の元頼を溺愛し、政房を廃嫡しようとしました。

成頼の意を受けた守護代の斎藤利藤と小守護代の石丸利光らは、元頼を擁立します。一方、政房は母方の叔父である斎藤妙純（利藤の異母弟）に擁立されたため、明応3年（1494年）に内乱（船田合戦）が勃発しました。

翌明応4年（1495年）7月、政房は妙純と共に元頼方を破り、同年9月には成頼が隠居したため、政房が家督と守護職を継承しました。元頼方は再起を図りましたが、明応5年（1496年）5月30日、妙純が城田寺城を包囲し、元頼と利光は自害して内乱は終結しました。

この船田合戦を通じて、美濃国内では守護代の斎藤氏の力が土岐氏を凌駕するほどになりました。しかし、明応5年12月、妙純が近江へ出兵して六角氏と戦い大敗し、子の利親と共に戦死したため、その後は小守護代の長井長弘が勢力を拡大しました。

永正6年（1509年）、政房は岐阜市長良福光に福光城を築き、そこへ移りました。

永正10年（1513年）5月、政房と斎藤彦四郎（利親の弟）の間で合戦が起こり、この戦いで西尾秀教（直教の子）が戦死しました。

政房は、長男の頼武を差し置いて次男の頼芸を後継者にしようとしました。この動きを長井長弘が支持したため、頼武には斎藤利良（利親の子）が味方し、家督をめぐる争いが勃発しました。永正14年（1517年）12月、両者は戦闘状態となり、政房は敗北を喫しました。政房は斎藤彦四郎とも連携し、翌年には頼芸派が勝利を収め、頼武と利良は越前へ逃れました。

政房は幕府を通じて朝倉孝景に頼武らの引き渡しを求めましたが、これは実現しませんでした。

政房は永正16年（1519年）6月16日に死去しました。政房の死後、同年には朝倉氏の支援を受けた頼武が守護の座につきましたが、頼芸派も家督奪還を狙ったため、美濃の混乱はその後も続きました。

政房の墓所は岐阜市茜部成就寺跡にあります。戒名は「承隆寺殿海雲宗寿大居士」です。

脚注

* 参考文献：横山, 住雄『美濃土岐氏―平安から戦国を駆け抜けた本宗家の戦い』戎光祥出版株式会社、2024年4月10日。ISBN 978-4-86403-504-0。

もう一度検索