土曜だエブリバディ!

『土曜だエブリバディ!』（どようだエブリバディ）は、朝日放送（ABCテレビ）が企画制作し、テレビ朝日系列をはじめとする放送局で生放送された、ワイドショーの要素を取り入れたトークバラエティ番組です。

この番組は、1989年4月1日から1990年3月31日までの約1年間、毎週土曜日の午前8時30分から9時30分までの1時間にわたって放送されました。番組名の由来は、「皆さん、土曜です」という呼びかけと、英語の「Everybody」（誰もが、皆さん）という単語を組み合わせた造語とされています。前番組である『おはようワイド・土曜の朝に』が持っていた、土曜朝に最新の情報や話題を提供するというコンセプトは引き継ぎつつも、よりエンターテインメント性を強調した、明るく賑やかな番組作りを目指しました。

番組開始当初の司会は、タレントの井上順、山瀬まみ、そしてチャック・ウィルソンの3名が務めました。しかし、1989年10月にはチャック・ウィルソンが降板し、これに代わる形で女優の中野良子、タレントの稲川淳二、プロレスラーのダンプ松本、そして当時朝日放送のアナウンサーであった加瀬征弘らが加わり、司会陣が刷新されました。複数の個性的な出演者が集まり、バラエティ豊かな顔ぶれとなりました。

生放送という形式をとっていましたが、番組制作上の特殊な事情から、制作局である朝日放送の大阪のスタジオではなく、東京都港区六本木にあったテレビ朝日の旧社屋センター内のスタジオが使用されました。朝日放送側は、番組の全てを大阪から送出するのではなく、主にスポンサークレジットの表示、CMの管理・送出、そして番組エンディング直前に放送される天気予報コーナーの発信のみを担当するという、異例の放送体制が採用されていました。

番組の放送期間中には、いくつかの特筆すべき出来事もありました。例えば、1989年6月24日に歌手の美空ひばりさんが逝去された際には、番組の内容を急遽変更し、追悼のための特別編成で放送を行いました。また、番組のエンディングテーマ曲には、歌手の井上昌己さんが歌う「瞳（まなざし）」が使用されました。この楽曲は、もともと井上さんのファーストアルバム『彼女の島』に収録されていたものですが、後にシングルとしてもリリースされています。番組では、「瞳（まなざし）」が流れるエンディングの時間を使って、全国各地の小学生たちが書いた作文を紹介するコーナーが設けられ、視聴者の感動を呼びました。

ネット局における放送に関しては、前番組から引き継がれた特異な状況がありました。制作局である朝日放送では、毎年8月に開催される夏の全国高校野球選手権大会のテレビ中継が優先されたため、当該週がテレビ朝日系列で4試合が組まれる日と重なった場合、本番組は完全に放送休止となり、代替放送も行われませんでした。これは、制作局自らがネットワークセールス番組の放送枠を返上するという珍しい対応でした。これに対し、テレビ朝日をはじめとする他のネット局では通常通り放送されましたが、この場合は大阪から送られる生放送ではなく、事前に収録された内容が朝日放送からの裏送りという形で放送されていました。この、高校野球中継時の休止と裏送りによる対応という放送形態は、本番組終了後に開始された後継のワイドショー番組『朝だ!生です旅サラダ』にも現在に至るまで踏襲されています。

その他、番組が放送されていた時期には、翌1990年4月の開局を控えていた長崎文化放送が、番組最終回をサービス放送として試験的に放送したという記録も残っています。約1年間という短い期間ではありましたが、当時の土曜朝に娯楽と情報を提供した番組でした。

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