土浦宿

土浦宿

土浦宿は、水戸街道における11番目の宿場町として、現在の茨城県土浦市大手町、中央1・2丁目、城北町付近に位置していました。ここは土浦藩の城下町であり、土浦城（別名：亀城）の東側に、複雑な枡形を繰り返しながら街道が迂回していました。宿場町は、土浦城の東側から南東にかけて、約700メートルにわたって広がっていました。

土浦宿には、山口家と大塚家という2つの本陣があったとされていますが、残念ながら現存していません。しかし、土浦は城下町としての機能だけでなく、霞ヶ浦の水運拠点としても重要な役割を担い、物資の集積地として大いに繁栄しました。

現在でも、旧街道沿いには歴史を感じさせる古建築が残っており、その景観の一部は保存されています。これらの建物は、当時の面影を今に伝える貴重な文化遺産です。

真鍋宿

土浦宿の北方約1キロメートルには、真鍋宿がありました。現在の茨城県土浦市真鍋3丁目付近に位置し、土浦宿との距離が非常に近いため、間の宿とも、あるいは土浦宿の一部とも見なされることがあります。真鍋宿は、坂下に鹿島街道との追分、坂上には筑波街道との追分があり、この二つの追分に挟まれた坂道を中心に発展しました。

真鍋宿を中心とする真鍋町は、明治時代以降も土浦とは別の町として存続しましたが、1940年（昭和15年）に土浦町と合併し、現在の土浦市が誕生しました。

周辺の史跡

土浦宿周辺

常福寺・愛宕神社: 土浦宿の南側に位置する寺社。愛宕神社は、茅葺屋根の本殿が今も残っています。
吾妻庵: 1873年創業の老舗蕎麦屋。母屋は築200年、商店部分は築100年という歴史ある建物です。
矢口酒店: 1800年代中期に建てられた土蔵建築で、茨城県指定文化財に指定されています。
まちかど蔵・大徳: 江戸時代末期の土蔵建築で、元は呉服店でした。現在は土浦市の観光案内所として活用され、裏手にはかつて本陣があったとされています。
まちかど蔵・野村: 1800年代末期の出桁造りの土蔵建築で、元は砂糖問屋でした。現在は観光案内所として利用されています。
ほたて: 大規模な角地に出桁造りの商店で、現在もてんぷら屋として営業しています。
土浦商工会館: もう一つの本陣があった場所です。

また、江戸時代中期には、土浦の国分商店が醤油の生産を開始し、その醤油は江戸に送られて消費されていました。当時、江戸では醤油のことを「むらさき」（筑波山）や「おひたち」（常陸）と呼んでいたそうです。

真鍋宿周辺

旧土浦中学校本館: 真鍋宿の坂上に位置し、国の重要文化財に指定されています。

隣接する宿場町

* 中村宿 - 土浦宿 - 中貫宿

中村宿と土浦宿の間は約4キロメートル、土浦宿と中貫宿の間は約4.7キロメートル離れています。真鍋宿と中貫宿の間にある板谷には、松並木と一里塚が残っており、水戸街道で松並木が残っているのはこの場所だけです。かつての街道の風景を今に伝える貴重な存在です。

土浦宿と真鍋宿は、それぞれ異なる歴史と文化を持ちながらも、互いに影響しあい、この地域独特の景観を形成してきました。これらの史跡や旧街道を歩くことで、江戸時代の旅人たちの足跡をたどり、当時の文化や生活を感じることができるでしょう。

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