土浦町

土浦町（つちうらまち）の概要

土浦町は、茨城県南部に位置し、新治郡に属していた町です。現在の土浦市の中心部にあたり、その歴史は1889年（明治22年）の町村制施行に始まります。この時、土浦町は単独で自治体として誕生しました。

歴史

沿革

1889年（明治22年）4月1日：町村制施行により、新治郡土浦町が単独で自治体を形成しました。
1937年（昭和12年）4月1日：新治郡中家村を編入しました。
1938年（昭和13年）6月1日：新治郡藤沢村の一部（大字虫掛）を編入しました。
1939年（昭和14年）6月1日：新治郡東村を編入しました。
1940年（昭和15年）11月3日：新治郡真鍋町と新設合併し、土浦市が発足。同日、土浦町は廃止されました。

地勢

土浦町の区域は東西約2.4km、南北約1.6kmと比較的コンパクトで、東には霞ヶ浦が広がり、南は桜川によって隔てられています。地形は低地が多く、全体的に平坦で、中心市街には商家が密集していました。

名所

土浦町には、歴史と文化を感じさせる様々な名所が存在しました。

霞ヶ浦：東に広がる湖は、町の風景を彩る重要な要素でした。
土浦城址：かつての土浦藩の居城跡。
郁文館址：旧土浦藩校の跡地で、後に新治県師範学校や茨城県立第二中学校となりました。現在は土浦第一小学校の一角に位置しています。
平国香の墓：現在の田中八幡神社境内にあります。
等覚寺：八田知家の子である法眼明玄が開基した寺院。土浦城の西側に位置し、国宝の銅鐘を所蔵しています。
神龍寺：曹洞宗の寺院で、現在の文京町にありました。
棉津：水郷汽船の発着所として、川口町にありました。
櫻川：別名筑波川。土浦を流れる川です。
銭亀橋：水戸街道の桜川に架かる橋で、江戸幕府直轄事業として建設されました。
閘門橋：川口閘門に架かる橋で、湖水の逆流を防ぐ役割を持っていました。
西子岡公園：横町にある公園で、月讀神社が祀られています。

地域

明治34年当時、土浦町は17の字から構成されていました。

官公署

土浦町には、様々な官公署が設置されていました。

新治郡役所：明治11年に土浦城本丸跡に設置されました。
町役場：前川町に位置し、現在の筑波銀行本店となっています。
土浦裁判所：明治43年には、判事、検事、書記など38名が勤務していました。沿革として、新治裁判所、茨城裁判所土浦出張所、土浦区裁判所、水戸地方裁判所土浦支部・土浦区裁判所と変遷しています。
土浦警察署：本町にあり、署前には火の見櫓がありました。現在の多摩川土浦ビルとなっています。
土浦監獄：
土浦税務署：内西町にあり、新治郡内の国税事務を掌っていました。
土浦郵便局：明治5年に土浦郵便取扱所として開設され、その後本町、川口町に移転しました。
土浦電信局：明治21年に設置されました。
土浦憲兵分隊：広範囲な地域を管轄していました。

教育

教育機関も充実しており、以下の施設がありました。

茨城県立土浦高等女学校
土浦尋常高等小学校
土浦町立土浦幼稚園
土浦町立図書館

経済

農業に適した土地は少なかったものの、霞ヶ浦での水産や、繭の集散が盛んでした。

金融

第五十国立銀行：明治11年開業。後に土浦五十銀行となりました。
土浦農商銀行
土浦三津和銀行
茨城貯蓄銀行土浦支店
茨城農工銀行土浦支店
常磐銀行土浦支店
土浦中支店

商業

鬼澤染め物店
國分商店
柴沼醤油
筑波鉄道本社
土浦米穀取引所
土浦繭糸市場：大正6年に開設され、国内有数の取引高を誇りました。
豊島百貨店
小沼養魚場
その他、多数の商店が軒を連ねていました。

劇場

小野座：明治時代に開館しました。
土浦劇場：明治館として1926年に開館しました。
霞浦劇場：1927年に開館しました。

交通

土浦町は、水陸交通の要衝として栄えていました。

鉄道

鉄道省 常磐線：土浦駅
筑波鉄道 筑波線：土浦駅 - 真鍋駅 - 虫掛駅
常南電気鉄道

航路

朝日丸汽船所：土浦 - 佐原・大船津間
銚子汽船会社：土浦 - 銚子間

乗合自動車

昭和7年には、土浦を発着するバス路線が多数運行されていました。

道路

水戸街道（陸前浜街道）が主要な街道でした。

出身者

* 山口剛：国文学者

土浦町は、その歴史、文化、経済において重要な役割を果たした町でした。

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