土肥直美

土肥直美 - 日本の形質人類学者

土肥直美（どい なおみ、1945年生まれ）は、日本の形質人類学者であり、主に沖縄における人骨の調査と分析を通じてその分野での業績をあげています。彼女は熊本県で生まれ、1963年に福岡県立修猷館高等学校を卒業後、1967年に九州大学の理学部で生物学を学び卒業しました。

その後、土肥は九州大学医学部の解剖学第二講座で助手としてキャリアをスタートさせ、1993年には琉球大学医学部解剖学第一講座に助教授として転職します。2007年から2010年まで同大学の准教授を務めた後、2010年から2016年までは非常勤講師として活動しました。

土肥の研究は、風葬人骨の調査を皮切りとして沖縄で出土した人骨の詳細な形質分析に特化しており、沖縄における人類の歴史的背景の解明に力を注いできました。また、2010年に始まった沖縄県立埋蔵文化財センターによる石垣島白保竿根田原洞穴遺跡の調査にも参加し、そこでは旧石器時代の人骨の発掘と分析に従事しました。この研究により、発掘された後期旧石器時代（約2万7000年前）の人骨について、土肥は頭蓋のデジタル復元や顔貌の復元に成功しています。

土肥の研究成果は、彼女の著書や共著の形でも公表されています。彼女の代表作『沖縄骨語り―人類学が迫る沖縄人のルーツ』（琉球新報社、2018年）では、沖縄における人類の起源についての考察がなされています。他にも、自然人類学についての基本的な理解を提供する共著書『人間史をたどる―自然人類学入門―』（朝倉書店、1996年）や、沖縄人の起源を探る『沖縄人はどこから来たか―「琉球=沖縄人」の起源と成立』（ボーダーインク、1999年）などがあります。

土肥直美の研究は、単に人骨の形質分析に留まらず、過去の人類の生活や文化を理解する上で重要な貢献をしています。彼女の業績は、形質人類学だけでなく、考古学や歴史学にも広く影響を与えています。土肥の研究を通じて、沖縄における人類の歴史理解が深まることを期待されており、将来的な研究成果にも大いに期待が寄せられています。

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