在日ミャンマー人

在日ミャンマー



在日ミャンマー人とは、日本に一定期間在住するミャンマー国籍の人々を指します。かつては「在日ビルマ人」とも呼ばれていました。彼らの日本における歴史は、第二次世界大戦中の留学生から始まり、政治情勢の変化や経済状況によってその姿を変えてきました。

変遷



戦時中、南方特別留学生としてミャンマーから日本へ留学生が派遣されました。1943年に17人、1944年には30人が来日しましたが、戦後、この制度は廃止されました。1964年の時点では、在日ミャンマー人は74人(うち留学生は34人)でしたが、その後、就労目的で来日する人が増え、1988年には約1000人に達したと推測されています。

1988年にミャンマーで軍事クーデターが発生すると、軍事政権の弾圧を逃れて日本に渡る人が急増しました。2000年までにその数は約5000人に達しましたが、多くの人が在留資格を失い、不法滞在者となっていました。しかし、1990年代は取締りが緩く、摘発されることは少なかったようです。

東京では、新宿区中井にミャンマー人コミュニティが形成され、「リトル・ヤンゴン」と呼ばれるようになりました。山手線の新大久保や大塚などにもミャンマー料理店や雑貨店が開店し、1991年からは都内でダジャン(水祭り)が開催され、交流が盛んになりました。しかし、2003年に東京都が不法滞在者対策を強化すると、中井のミャンマー人は高田馬場へ移動し、結果的に高田馬場が新たな「リトル・ヤンゴン」となりました。

2003年には、ミャンマーでディペーイン事件が発生し、母国の状況に絶望したミャンマー人による難民認定申請が増加しました。難民認定者数は少ないものの、特別在留許可を得て日本に滞在する人も多くいました。2010年からは、タイに住むミャンマー難民の第三国定住が開始され、毎年30人のミャンマー難民が日本で受け入れられています。

2011年のミャンマー民政移管後、経済自由化が進むと、技能実習生や留学生として来日するミャンマー人が増加しました。特に2016年以降、その傾向は顕著になりました。一方で、民主化が進んだことで帰国する人もいましたが、かつての軍政時代には、在日ミャンマー人に税金が課せられており、帰国時に支払いが問題となるケースもありました。

2020年12月時点で、在日ミャンマー人の数は35,049人でした。関東、東海、近畿地方に多く、20代から40代の女性が多いのが特徴です。しかし、2021年にクーデターが発生し、ミャンマーが内戦状態に陥ると、日本政府は在日ミャンマー人に対して緊急避難措置として特定活動の在留資格を付与しました。これにより、多くのミャンマー人が日本に滞在し、就労できるようになりました。

ただし、この特定活動の在留資格を悪用し、失踪する技能実習生も急増しており、問題となっています。2023年には、技能実習生の失踪数が過去最多を記録し、その多くがミャンマー人でした。また、難民認定申請者も増加傾向にあります。情勢不安から、海外での就労や就学を希望するミャンマー人が増え、在日ミャンマー人の数は2023年12月には86,546人と、コロナ前の約3万人から2倍以上に増加しました。徴兵制の影響から、ミャンマー人男性を採用する日本企業は減少傾向にあります。

文化



宗教施設



仏教
ミッタディカパゴダ(名古屋市):日蓮宗の僧侶が、ミャンマー人実習生や留学生のために2015年に建立。灯明祭りが開催されます。
東京パゴダ(埼玉県和光市):2024年に建立された首都圏初のパゴダ。仏像やレリーフが設置されています。
イスラーム
マスジド・サラーマト(群馬県館林市):在日ロヒンギャによって2007年に建設されたモスク。

祭り



ダジャン:毎年4月に、東京、名古屋などで開催される水祭り。まだ肌寒い時期のため、水をかけ合う人は少ないです。
ミャンマー祭り:2017年から東京増上寺で開催。代表理事は安倍昭恵氏です。

映画



異国に生きる 日本の中のビルマ人 (2012):在日ミャンマー人の民主活動家、チョウチョウソウ氏を追ったドキュメンタリー映画。
僕の帰る場所 (2017):在日ミャンマー人家族の実話を基にしたドラマ。

統計



2023年末現在、在日ミャンマー人は86,546人です。在留資格別、都道府県別の内訳は以下の通りです。

在留資格別(上位7位まで)
(実際のデータは省略)

都道府県別(上位10位まで)
(実際のデータは省略)

著名人



アウン・ソー・モー:外交官。2021年のクーデターに反対し、市民的不服従運動に参加。
ソー・バ・フラ・テイン:国民統一政府(NUG)駐日代表。
チョウディン:サッカー指導者。2007年、日本サッカー殿堂入り。
ゾーゾーウー:プロ野球選手。香川オリーブガイナーズ徳島インディゴソックスでプレー。
ピエリヤンアウン:サッカー選手。ミャンマー代表として来日後、難民認定を受け、Y.S.C.C.横浜フットサルでプレー。現在はミャンマー料理店勤務。
森崎ウィン:俳優。両親が在日ミャンマー人。
齋藤飛鳥乃木坂46メンバー。母親がミャンマー人。
宮崎あみさ:アイドル、グラビアモデル。母親がミャンマー人。
黒宮ニイナ:タレント、モデル。両親ともミャンマー人。
御子柴かな:タレント、グラビアモデル。日本人とミャンマー人のハーフ。

脚注



(脚注の内容は省略)

参考文献



(参考文献の内容は省略)

関連項目



在日ビルマ市民労働組合
在日ミャンマー人の民主化運動
ミャンマー難民
日緬関係
在外ミャンマー

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