地上絵

地上絵（ジオグリフ）とは

地上絵、またはジオグリフ（geoglyph）とは、地面に人の手によって作られた模様のことです。その制作方法は大きく分けて二つあります。

ネガティブ・ジオグリフ

一つは、土壌の表層を削り取ることで溝を作り、その溝と影によって模様を表現する手法です。この手法で作られたものをネガティブ・ジオグリフと呼びます。地面を掘ることで、周囲の土との色の違いや影の濃淡を利用して、図像を浮かび上がらせます。

ポジティブ・ジオグリフ

もう一つは、石や土などを集めて積み上げ、それによって模様を形成する手法です。こちらはポジティブ・ジオグリフと呼ばれ、盛り上がった部分が図像として認識されます。

地上絵の分布

地上絵は世界各地に存在しますが、特にラテンアメリカ、中でもペルーに集中しています。

ペルーのナスカの地上絵

最も有名なのは、ペルーのナスカ地方に広がるナスカの地上絵でしょう。これらの地上絵は、紀元前200年から西暦650年頃にかけて作られたと考えられています。動物や幾何学模様など、その図像は非常に多様で、広大な砂漠に描かれた巨大な絵は、見る者を圧倒します。

ブラジルのアクレの地上絵

1970年代に発見されたブラジルのアクレ地方の地上絵も注目に値します。アクレの地上絵には、410箇所に306種類の図像が確認されており、その多くが幾何学的な形状をしています。これらの地上絵は、儀式的な目的や象徴的な社会空間として機能していたとする仮説が有力です。少なくとも2000年前には作られたと考えられています。

中東の地上絵

さらに、中東のシリアやサウジアラビアでも、古代に作られた地上絵が見つかっています。これらの地上絵は「Desert kites (Works of the Old Men)」と呼ばれており、少なくとも2000年前には作られたと考えられています。これらの構造物は、狩猟や家畜管理に関わっていた可能性が指摘されています。

地上絵の意味と目的

地上絵がなぜ作られたのか、その正確な理由はまだ解明されていません。しかし、多くの研究者は、儀式的な目的、天体観測、社会的なコミュニケーション、あるいは単なる芸術的な表現など、様々な目的があったと考えています。ナスカの地上絵のように、特定の文化圏に集中して見られるものもあれば、アクレの地上絵のように、異なる文化圏にも見られるものもあります。そのため、それぞれの地域や時代によって、地上絵が担っていた役割は異なると考えられます。

地上絵の保護

現代において、地上絵は歴史的、文化的に重要な遺産として保護されています。しかし、環境の変化や観光客の増加により、その保全は困難を極めています。風雨による浸食や、人為的な破壊から、これらの貴重な遺産をいかに守っていくかが、今後の課題となっています。

関連事項

• - ランド・アート：自然環境を素材とする芸術活動。
• - ペトログリフ（岩絵）：岩に刻まれた絵や記号。

これらの関連事項も、人類が自然とどのように関わってきたかを理解する上で重要です。

地上絵は、古代の人々の知恵と創造性を示す貴重な証拠です。今後も研究が進み、その謎が解き明かされることが期待されます。

もう一度検索