地下核実験制限条約

地下核実験制限条約（TTBT）

地下核実験制限条約、通称TTBTは、アメリカ合衆国とソビエト連邦の間で締結された核実験に関する重要な条約です。この条約は正式には「地下核兵器実験の制限に関するアメリカ合衆国とソビエト社会主義共和国連邦との間の条約」と呼ばれ、1974年7月3日に署名され、1990年12月11日に発効しました。

背景と目的

TTBTは、1963年に発効した部分的核実験禁止条約（PTBT）を発展させた形で策定されました。PTBTでは、地上での核爆発は禁じられましたが、地下での核実験には出力の制限がありませんでした。これに対して、TTBTは地下核実験の最大出力を150キロトン（kt）に制限し、核兵器の開発と使用に関する新たな指針を設けることを目的としています。特に、過去にはアメリカがアムチトカ島で行ったようなメガトン級の核実験があったため、この条約は核実験の規模を抑え、国際的な緊張を軽減する意義を持ちます。

条約の内容

TTBTの特徴として、最大600ktの核出力という制限が設けられている点が挙げられます。条約の第1条では、核実験にかかる具体的な制約が規定されています。また、条約には核実験の検証方法が定められており、各国はその間に得られたデータを基に、地震波を用いて実験の出力を測定することが求められます。

有効期間は5年間で、自動的に延長される仕組みですが、各国が自国の安全を脅かすと認識した場合には脱退することも可能です。この点は、核不拡散条約（NPT）など他の国際協定にも似た条項があります。平和的目的の地下核爆発はこの条約の対象外であり、1976年に結ばれた平和目的地下核爆発制限条約（PNET）が平和的な目的における出力制限をカバーしています。

検証体制の確立

TTBTとその附属議定書では、核実験を行う際の検証手法が明記されています。特に、実験が行われる地点や、その地理的・地球物理的情報、実施日などを事前に通知することが求められ、これにより透明性が確保されます。また、技術的問題により、意図しない軽微な規定違反が発生した場合、その違反を条約違反として扱わない合意もなされています。

冷戦期の影響と合意

TTBTの交渉は、冷戦という複雑な国際情勢の中で行われました。1976年時点では、双方の国が核実験に関する制限を孕むと表明していたものの、検証実験は実施されませんでした。しかし、1980年代後半になると、米ソ関係が改善し始め、1987年からは共同で検証実験を行うことが協議されました。この結果、1988年には共同検証実験に関する条約が締結され、米国のネバダ核実験場およびソ連のセミパラチンスクで共同実験が実施されることとなります。

結果として、TTBTは国際的な核不拡散努力の一環として極めて重要な役割を果たし、冷戦終結後の1990年12月11日にPNETとともに正式に発効しました。

TTBTは、国際社会における核兵器の管理と減少に向けたステップとなり、平和的な核エネルギーの利用の推進とも関係を持つ条約です。

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