地勢図

地勢図とは

地勢図は、国土交通省国[[土地理院]]が作成する縮尺20万分の1の地図です。この地図は、広範囲の地域における地形、水系、交通網、集落などの概況を把握するのに適しており、土地利用や開発、調査研究、観光など、多岐にわたる用途に利用されています。具体的には、府県程度の地域を一枚の地図で捉え、詳細な地形や地物の状態まで読み取ることができます。

地勢図の特徴

地勢図は、ユニバーサル横メルカトル図法（UTM図法）を用いて投影されています。ただし、北海道については多面体図法が用いられていましたが、近年ではUTM図法に切り替えられています。この地図は、日本全国を一次メッシュ130面でカバーしており、全国の地形を網羅的に把握できます。また、一枚の紙地図のサイズは460mm × 580mm（柾判）です。

地勢図の歴史

地勢図の歴史は、江戸時代の伊能忠敬による日本全国の測量にまで遡ります。

伊能図

日本における地図作成の歴史は古く、聖徳太子の時代にも地図が作られた記録が残っています。しかし、全国を統一規格で測量した地図は、伊能忠敬が全国沿岸測量を完了するまで存在しませんでした。伊能忠敬は、1800年（寛政12年）から蝦夷地の測量を開始し、18年間の苦労の末に正確な日本地図を作り上げました。この伊能図は、当時の技術水準からすると驚異的な精度を誇り、本州や四国などの誤差は非常に少なかったと評価されています。

輯製図

1884年（明治17年）、陸軍参謀本部は伊能図や内務省の地形図、各府県庁の地図などを基に、多面体図法による20万分1の地図の編集に着手しました。この地図は、経度差1度、緯度差40分の区画で作成され、1893年（明治26年）までに沖縄県から北方領土までの全域をカバーする142面が完成しました。これが「輯製20万分1図」であり、当時の日本における最大の縮尺の地図でした。

帝国図

日本の基本地図は、当初2万分1の縮尺で作成されていましたが、その後5万分1に変更されました。1895年（明治28年）から、5万分1地形図を基に20万分1地図の編集が開始され、1935年（昭和10年）までに「20万分1帝国図」が完成しました。この帝国図は、輯製図と同じ区画と図法を採用しつつ、地形の表現には等高線と暈渲が併用されました。

現在の地勢図

第二次世界大戦後、20万分1帝国図を新時代に合わせて改訂する研究が始まり、一部は暫定版として刊行されました。1953年（昭和28年）には第一次基本測量長期計画が告示され、20万分1地図の全国整備が計画されました。その後、計画に基づいて年間十数面ずつ編集が進められ、1963年（昭和38年）までに沖縄を除く全国118図面が完成しました。1963年以降は、図面の修正やUTM図法への切り替えが進められ、1972年（昭和47年）の沖縄返還後には同地域の新規編集も行われました。

関連情報

• - 地方図：より広範囲の地域を対象とした地図。
• - 地図と測量の科学館：20万分の1地勢図を使った球体模型が展示されている。
• - 早乙女爲房：地図学や測量学の研究者。

地勢図は、その歴史と精度の高さから、地図学において重要な役割を果たしています。現在でも、様々な分野で活用されている地図です。

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