地域環境科学科

地域環境科学科の概要

地域環境科学科は、過去に日本のいくつかの大学で設置されていた学問分野です。この学科では、主に農業工学や生態環境の科学に関する教育と研究が実施されていました。自然と人間社会が調和した持続可能な地域づくりを目指し、そのための技術や計画手法、環境保全の知識などを習得することを目的としていました。多くの場合、農学部に設置されていました。

かつて設置されていた大学と再編

複数の大学に地域環境科学科は存在しましたが、大学全体の学部・学科再編に伴い、その多くが改組されました。

島根大学

島根大学生物資源科学部には地域環境科学科が設置されており、生態環境科学教育コース、環境資源工学教育コース、地域工学教育コースといった専門性の高いコースが設けられていました。しかし、2017年度の入学生からは、他の学科とともに学部全体が再編され、以下の新たな学科体制となりました。

生命科学科（細胞生物学コース、水圏・多様性生物学コース、生命機能化学コース、食生命科学コース）
農林生産学科（資源作物・畜産学コース、園芸植物科学コース、農業経済学コース、森林学コース）
環境共生科学科（環境生物学コース、生態環境学コース、環境動態学コース、地域工学コース）

この再編により、地域環境科学科で扱われていた分野の一部は、特に環境共生科学科などに引き継がれる形となりました。

茨城大学

茨城大学農学部にも地域環境科学科が設けられていましたが、こちらも島根大学と同様に、2017年度以降の入学生に対しては他の学科との統合・再編成が行われました。再編後の主な学科としては、以下のものが挙げられます。

食生命科学科（国際食産業科学コース、バイオサイエンスコース）
地域総合農学科（農業科学コース、地域共生コース）

茨城大学の場合、旧地域環境科学科で扱っていた分野は、地域総合農学科の地域共生に関する部分などに組み込まれる形となりました。

今後の設置予定

かつて存在した学科ですが、新たな形で関連する分野の学科が設置される予定の大学もあります。

岩手大学

岩手大学農学部では、農林環境科学科（環境デザイン学講座など）から食料生産環境学科農村地域デザイン学コースが設置されていました。そして、2025年の学部改組において、新たな学科が設置される予定です。これは地域環境科学科が直接復活するわけではありませんが、地域デザインや環境に関する学びが再編成される動きと言えます。

類似の学びを提供する大学

地域環境科学科そのものは減少しつつありますが、類似の学問分野を扱う学科は他の多くの大学に設置されています。

京都大学農学部、弘前大学農学生命科学部などには、地域環境工学科が設置されています。ここでは地域環境工学や地域環境計画学といった分野が探究されています。
かつて大阪府立大学生命環境科学域には緑地環境科学類がありましたが、大阪公立大学農学部開学後は緑地環境科学科として改組・設置され、緑地や環境に関する科学を学べます。
石川県立大学生物資源環境学部には環境科学科が設置されています。ここでは、田園資源活用系（環境利水学、農地環境学など）、生物環境保全系（動物生態学、植物生態学など）、水環境管理系（地域水工学、水環境学など）、里山里海創生系（流域環境学、地域計画学など）といった多様な分野が研究されています。

これらの学科は、名称は異なれど、地域環境と持続可能な発展に関する重要な教育・研究を担っています。

関連項目

地域環境科学科と関連性の深い学問分野や学科としては、以下のようなものが挙げられます。

地域環境科学部
農学科
園芸学科
森林科学科
* 生物資源環境学科

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