地域環境科学部

地域環境科学部（ちいきかんきょうかがくぶ、英称：Faculty of Regional Environment Science）は、農学の幅広い分野に立脚し、地域の自然環境の保全や再生、快適な生活空間の創造、そして地域社会の持続可能な発展を目指す教育・研究を推進する大学の学部組織です。

この学部は、森林、農業生産環境、都市や農村の景観、そして地域社会そのものを対象とし、生態学、工学、デザイン、社会科学など、多様な専門知識と技術を融合させて問題解決に取り組みます。

日本における設置状況

2008年時点において、日本では東京農業大学にのみ設置されています。東京農業大学では、1998年に従来の農学部を改編する形でこの学部が誕生しました。これにより、変化する社会のニーズに応じた、より専門的かつ学際的な地域環境に関する教育・研究体制が構築されました。

組織と学びの領域

地域環境科学部は、多岐にわたる専門分野を網羅するために複数の学科で構成されています。学生はそれぞれの学科において、特定の視点から地域環境に関する知識と技術を深めます。

森林総合科学科

森林の持つ多面的な機能に着目し、その生態や保全、防災、資源としての利用、経営、さらには政策に至るまでを総合的に研究・教育します。森林生態学、治山・緑化工学、造林学、林業工学、木材学、森林経営学、森林政策学などの幅広い分野を扱います。

生産環境工学科

農業生産の現場や農村地域が直面する環境問題や技術的課題に対し、工学的アプローチで解決を目指します。地域資源の有効利用、農村空間の整備、環境情報の活用、地水環境の保全、農業関連施設の設計・管理、バイオロボティクス、農産物の加工・流通といった分野を専門とします。

造園科学科

都市空間から自然地域まで、あらゆるスケールの景観の計画、デザイン、管理、保全を行います。景観政策、ガーデンデザイン、都市緑地計画、ランドスケープデザイン、自然環境保全、観光レクリエーション、造園植物、ランドスケープエコロジー、都市緑化技術、造園工学、景観材料など、美的側面だけでなく生態や機能も重視した空間づくりを学びます。

地域創成科学科

地域の活性化と持続可能性を追求する学科です。自然再生分野では、傷ついた生態系の回復や保全に関わる科学的・技術的な手法を学びます。地域マネジメント分野では、地域社会の現状を分析し、環境と共生する地域づくりのための計画策定やデザイン、多様な関係者との連携、事業運営など、実践的な地域づくり手法を修得します。

これらの学科を通じて、学生は地域環境に関する深い理解と専門的な能力を身につけ、将来、地域社会の課題解決や持続可能な環境の実現に貢献できる人材として育成されます。

関連項目

地域環境科学部と同様に、地域社会の課題解決や創生を目的とする学部として、地域創生学部などがあります。ただし、地域環境科学部が農学を基盤とし、自然環境や生産環境といった物理的な側面や生物的な側面に重点を置く傾向があるのに対し、地域創生学部はより広く地域社会の活性化、文化、経済、行政といった社会科学的な側面に力点を置く違いが見られます。

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