地形輪廻

地形輪廻 (ちけいりんね) の概要

地形輪廻とは、河川による侵食が原因で地形が変化していく過程を指します。この地形変化の過程は「侵食輪廻」とも呼ばれ、アメリカの地形学者ウィリアム・モーリス・ディヴィスによって提唱されました。地形輪廻は、原地形が侵食にさらされ、幼年期地形、壮年期地形、老年期地形を経て最終的に平坦な準平原となる一連のプロセスで構成されています。

原地形 (げんちけい)

地形輪廻の最初の段階で、ここでは侵食が始まる前の地形を指します。この段階の地形は、主に内的営力によって形成され、平坦な面が広がっていることが特徴です。たとえば、火山活動によって新たにできた山や、海底から隆起した海岸平野、及び隆起準平原などが該当します。

幼年期地形 (ようねんきちけい)

侵食が始まった段階で、河川の下刻作用が活発化し、V字型の谷が形成されます。急流や滝も見られ、この時期には原地形の表面が比較的保存され、高原のような形状が見受けられます。代表的な場所としては、アメリカのグランドキャニオンや日本の吉備高原、木曽川中流域などがあります。

壮年期地形 (そうねんきちけい)

この段階では、侵食が進行し、地形の起伏が最大に達します。原地形の表面はほとんど残っていない状態で、尾根が鋭く尖り、V字谷が際立ちます。谷底平野は発達していないことが特徴であり、アルプス山脈、ヒマラヤ山脈、日本アルプスなどがこの時期の典型例とされています。

老年期地形 (ろうねんきちけい)

この段階では侵食がさらに進み、地形の起伏が徐々に緩やかになってきます。谷の幅が広がり、谷底と谷壁の境界が曖昧になり、尾根や山頂の高さも低下します。河川も比高が少なくなるため、谷底が侵食基準面に近づくにつれて侵食作用は弱まります。また、老年期地形では、山麓に緩斜面が形成されることが多く、さらにそこには長期にわたって侵食された岩屑が堆積されることがあります。例としては、山東半島や日本の北上山地、阿武隈高地などがあります。

準平原 (じゅんへいげん)

地形輪廻の最終段階で、侵食作用により地形面の高さが侵食基準面に近づき、起伏の少ない平野が広がります。この時期には、侵食の結果として取り残された残丘も見られます。さらに、準平原が再び隆起することもあり、こうした場合は隆起準平原と呼ばれます。侵食基準面が地形面よりも低下することで新たな侵食作用が開始し、新しい地形輪廻の原地形となります。隆起準平原の具体例には、吉備高原や大台ヶ原があります。

参考文献

Davis, W.M. (1899). "The geographical cycle", Geographical Journal of the Royal Geographical Society, 14, 481-504.

関連項目

地形学では、河川の侵食とその影響を詳しく研究しており、地形輪廻についてのイラスト解説も存在します。

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