侵食

侵食の概要

侵食（しんしょく）とは、外部の力、特に水や風の作用によって岩石や地層が削られていく過程を指します。この現象は様々な形態で見られ、自然界の地形変化に大きな影響を及ぼします。

特に、浸食の用語も使われますが、水による「浸る」という意味合いが強いため、学術的には侵食という表記が一般的です。水の侵食は、雨水、河川の流れ、海の波や氷河などが原因で進行し、これにより物理的な浸食作用が生じます。水流による侵食は「洗掘」と呼ばれ、長期間にわたって岩盤を摩耗させることは「磨食」として区別されます。

風による侵食も重要で、風そのものや風で飛ばされた砂粒によって地表が削られます。この場合、特に「風食」として知られる現象が観察されます。また、一部の生物、例えば貝やウニが岩石を侵食する現象は「生物侵食」として知られています。

河川における侵食プロセス

河川においては、侵食作用にはいくつかの形態があります。以下にこれらの主なプロセスを紹介します。

1. 下刻作用（下方侵食）

これは河床が下向きに掘り下げられる作用です。下刻が進むと河床は低くなり、結果として河川の勾配が緩やかになり、流れの侵食力が低下します。

2. 側刻作用（側方侵食）

この作用は河岸を横に削り、川幅を広げるものです。側刻は河床の勾配を変えずに、荷重の供給を増加し、侵食余力を少なくします。

3. 谷頭侵食

河谷の最上流部で見られるこの作用は、地下にあるパイプの崩落や流出口の侵食が原因で発生し、河道が上流へ延びることを指します。

河床の形態による侵食作用

河床の材質によっても侵食の形態は大きく変わります。

(1) 岩床河川の侵食

このタイプの河川では、河水によって岩石や鉱物が溶解する「溶食」や、砂礫が岩盤を削る「磨耗」などの作用が重要です。

• - 溶食: 特に麻鈺岩や石灰岩において顕著で、糖分や酸成分が岩石を溶解します。
• - 磨耗: 河水中に含まれる砂礫が岩盤に衝突したり作用することで岩石が削られ、河床形状が変わります。
• - 磨滅: 砂礫自身が相互に衝突したり摩擦することにより起こります。
• - プラッキング: 割れ目から岩が剥離されること。
• - キャビテーション: 決まった流速下での局所的圧力の変動により発生する現象です。

(2) 沖積河川の侵食

沖積河川では、侵食と堆積のバランスが重要です。

• - デグラデーション: 流入する土砂量が減り、河床が侵食される現象です。
• - アグラデーション: 流入量が増え、河床が上昇する現象です。
• - 洗掘: 洪水の際に河床が大きく削られる現象で、反対に堆積作用が進むこともあります。

侵食による地形変化例

侵食の影響が顕著に見られる地形として、グランドキャニオン（アメリカ）、カッパドキア（トルコ）、桂林（中国）が挙げられます。これらの地域では、侵食によって形成された独特な地形が観察されます。

場合によっては、人為的な活動が侵食に影響を与えることもあります。河川の流量調整やダム建設などは、流出入する土砂のバランスに変化をもたらし、周辺環境を変えることにつながります。這い進む侵食の過程は、自然界だけでなく私たちの生活にも影響を与え続けています。

もう一度検索