地方総監府

地方総監府の概要

地方総監府（ちほうそうかんふ）は、1945年6月に日本で設立された地方行政機関です。この機関は、第二次世界大戦（太平洋戦争）の終息に向けた政府の取り組みの一環として、本土決戦に備える必要から設置され、全国8つの地域に分かれた軍管区に基づいて機能しました。しかし、敗戦後の同年11月には廃止され、非常に短命な組織となりました。

設立の背景

1945年に入ると、日本の主要都市は連合国による空襲を受け、特に沖縄では地上戦が展開されていました。この時期、政府と内務省は敵軍の本土上陸を想定し、国土が分断される可能性に備える必要性を強く感じていました。そのため、全国を軍管区ごとに8つの区域に分け、その地域の地方行政を一元的に調整するための機関として地方総監府が設立されました。具体的には、北海、東北、関東信越、東海北陸、近畿、中国、四国、九州の8つの区域が策定されました。

組織と権限

地方総監府は、各都道府県とは別の行政機関であり、地方総監という長が率いる独自の組織構造を持っていました。地方総監は、都道府県知事に対して指揮権を持ち、非常時において陸軍や海軍への出兵要請権を保持していました。しかし、実際には空襲の激化によって多くの知事会合が開けず、中央政府との連絡機関としての役割にとどまってしまいました。

地方総監府に附属していた各地域の医療、治安、食糧供給などに関する部門は、厳しい状況下での対応を余儀なくされました。これにより、各総監府はその所管区域において適切な対応策を講じることができず、十分な機能を果たせることはありませんでした。

認識と後の評価

地方総監府は、設立からわずか数ヶ月で廃止されたため、歴史的にはあまり存在感がありませんでしたが、その短い存続の間に地方行政組織としての特異な試みを行っていました。例えば、当時の連絡調整や戦局に応じた自活態勢の構築は、現代における地方行政に関する議論、特に道州制の前触れとされるケースも多く見受けられます。このように、地方総監府は近年の道州制論議において、先駆的な存在として再評価されています。

各地方総監府の解説

地方総監府は、以下のような地域ごとに設置され、それぞれの軍管区に対応していました。

• - 北海地方総監府（札幌）：樺太および北海道を管理。
• - 東北地方総監府（仙台）：青森県、岩手県、秋田県、宮城県、福島県、山形県を管轄。
• - 関東信越地方総監府（東京）：埼玉県、山梨県、神奈川県、千葉県、栃木県、茨城県、群馬県、東京都、長野県、新潟県を担当。
• - 東海北陸地方総監府（名古屋）：愛知県、岐阜県、静岡県、三重県、石川県、富山県を管理。
• - 近畿地方総監府（大阪）：大阪府、滋賀県、福井県、京都府、奈良県、和歌山県、兵庫県が含まれる。
• - 中国地方総監府（広島）：広島県、島根県、山口県、鳥取県、岡山県を管轄。
• - 四国地方総監府（高松）：香川県、徳島県、高知県、愛媛県を担当。
• - 九州地方総監府（福岡）：福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県を管理。

地方総監庁は親任官によって運営され、地域の知事が兼任する場合もありました。結局のところ、地方総監府の活動は限られており、戦局の激化とともにその役割は次第に消失していきました。戦後、地方総監府は廃止され、後継機関として地方行政事務局が設置されましたが、各地域の特性を生かした運営は難しい状況が続いています。

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