親任官

親任官（しんにんかん）

親任官は1886年に創設された日本の官吏の一種であり、特に明治憲法のもとで重要な役割を果たしました。この制度は1948年に廃止されるまで存在し続けました。

沿革

親任官の制度は、1885年に内閣職権が明確化されたことで始まりました。翌年、1886年3月12日に「高等官官等俸給令」が定められ、高等官を勅任官と奏任官に分けることが決まりました。この中で、親任式によって任命される官が設けられ、内閣総理大臣や各省大臣などがその代表でした。親任官はその名の通り、天皇の親任を受けて官職に就くため、非常に権威が高い位置づけでした。

官職に任用される際には、天皇による親署が必要で、これに基づいて辞令が発行されることが規定されていました。これにより、親任官は国の政治の中で重要な役割を果たす人々として位置づけられました。また、親任官は主に内閣総理大臣や宮内大臣、陸軍大将、海軍大将など、国家の重要な要職に就いた文官及び武官を含むものでした。

1890年の大日本帝国憲法の施行により、親任官の制度はさらに明確に規定されました。当初の親任官に関する法律はその後何度も改訂され、年俸や位階制度などが見直されていくこととなります。特に、1892年には「高等官官等俸給令」が制定され、官の等級が細分化されました。

親任官の構成

親任官の中には、文官と武官が存在しました。文官には内閣総理大臣や各省大臣、特命全権大使、司法官などが含まれ、武官には陸海軍の大将が指定されていました。特に武官は、退役後もその地位を保持することから、職務を区別されていました。

この制度の中で、特定の職において一定の期間在職した官僚や特別な功績が認められた者には、親任官の待遇が与えられる「親任官待遇付与奏請内規」が設けられていました。このように、親任官は単なる官職の一部に留まらず、様々な規定や特権がありました。

廃止とその後

戦後、日本国憲法が施行された1948年には、親任官という制度自体が廃止され、オープンな民主的な官僚制度へと移行しました。ただし、内閣総理大臣や最高裁判所長官は、今もなお天皇によって任命される形式を保持していますが、親任官の制度はもはや存在しません。

このように、親任官は明治時代の日本の官僚制度の中で重要な役割を果たしましたが、その歴史は1948年に終わりを迎えました。現代の日本では、親任官と呼ばれる官吏の地位は存在せず、歴史的な文脈の中で理解される役割となっています。

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