地方行政緊急措置要綱

地方行政緊急措置要綱とは

地方行政緊急措置要綱は、1945年9月に沖縄諮詢会によって発表された、沖縄本島の地方行政組織に関する要綱です。沖縄戦によって既存の行政機構が完全に機能しなくなった状況下で、米軍は住民を収容所に収容していました。この要綱は、その収容所を臨時の「市」とみなし、市長と市議会議員を置くことを目的としていました。

要綱の内容

この要綱では、収容所を「市」と定義し、各「市」に市長と市議会議員を設置することとしました。1945年9月20日には市議会議員の選挙が、9月25日には市長選挙が実施され、臨時の地方行政がスタートしました。この措置は、戦後の混乱期において、住民の自治を一時的に回復させることを目的としていました。

設置された「市」の一覧

地方行政緊急措置要綱に基づき、以下の「市」が設置されました。

糸満市：現在の糸満市にあたる
知念市：現在の南城市にあたる
胡差市：現在の沖縄市にあたる
前原市：現在のうるま市にあたる
平安座市：現在のうるま市にあたる
石川市：現在のうるま市にあたる
漢那市：現在の宜野座村にあたる
宜野座市：現在の宜野座村にあたる
古知屋市：現在の名護市にあたる
久志市：現在の名護市にあたる
辺土名市：現在の国頭村にあたる
田井等市：現在の名護市にあたる
瀬嵩市：現在の名護市にあたる
福山市：現在の宜野座村にあたる
惣慶市：現在の宜野座村にあたる
高松市：現在の名護市にあたる


これらの「市」は、当時の収容所の状況や住民構成に基づいて設置されました。しかし、その後の旧市町村への移動許可によって、人口が大きく変動しました。

「市」の廃止とその後

旧市町村への移動が許可されたことにより、収容所に設置された「市」の人口は激減し、多くの市は1945年末までに廃止されました。唯一、石川市のみがその後も存続し、現在のうるま市の一部となっています。この出来事は、沖縄戦後の混乱期における行政組織の変遷を示す重要な事例と言えるでしょう。

関連事項

沖縄諮詢会：地方行政緊急措置要綱を策定した諮問機関。
琉球政府：アメリカ統治下の沖縄に設置された政府。
アメリカ合衆国による沖縄統治：第二次世界大戦後から沖縄返還までのアメリカによる統治。
石川市：地方行政緊急措置要綱に基づき設置された市で、唯一存続した。


地方行政緊急措置要綱は、戦後の混乱期における沖縄の地方行政の特殊な状況を反映しており、その後の沖縄の歴史を理解する上で重要な要素の一つです。

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