沖縄諮詢会

沖縄諮詢会（おきなわしじゅんかい）とは

沖縄諮詢会は、1945年8月20日に、沖縄戦後の混乱期において、琉球列島米国軍政府によって設置された諮問機関です。沖縄戦で県庁が壊滅状態となった後、沖縄本島における最初の行政機構として、15人の委員による合議制で機能しました。1946年に沖縄民政府が創設されるまで、米軍政府と沖縄住民との意思疎通を図る重要な役割を担いました。専門の庁舎はなく、石川収容所内の委員の自宅が事務所として利用されました。

背景

1945年3月26日、米軍は慶良間諸島に上陸し、4月1日には沖縄本島に侵攻を開始。日本軍との激しい地上戦を展開しました。米軍は「ニミッツ布告」を発令し、南西諸島における日本の支配停止とアメリカによる支配を宣言しました。同年6月23日、日本軍の組織的な抵抗が終わり、9月7日に降伏文書が調印され、沖縄は名実ともに米軍の支配下に入りました。

米軍政府は沖縄の民間人を12の収容所に強制収容しましたが、その一つである石川収容所で、8月15日に全島住民代表者会議を開催。この会議で、中央政府設立の準備機関として沖縄諮詢会の設置が決定されました。

委員選出の過程

当時、米軍情報部（MIS）に所属していた日系二世のマサジ・マルモト中尉は、6月20日に沖縄に来島した際、「避難民収容所を回って指導的地位にあるものを捜索せよ」との命令を受けました。マルモトらは6週間かけて150人をリストアップし、「石川会議」の代議員としました。最終的に126人の各地区代表者が石川収容所に集められましたが、中には軍から事前に委員長を指名されていた者もいました。

仮諮詢会の冒頭で、軍政府は会議の目的を次の3点としました。

1. 諮詢会委員15人を選出すること
2. 民意代表機関設立の案を示すこと
3. 軍に対する要望や疑問に回答すること

委員構成については、専門知識・技能を有する者、各社会階級の代表者、地域バランスを考慮することに加え、以下の点が重視されました。

日本の軍部、帝国主義者と密接な関係を持つ者は避ける
米国の機嫌を取り自己の利益を優先する者は避ける
沖縄の福祉のために強硬に意見できる人物を選ぶ

8月15日中に24人の委員候補が選出され、8月25日に15人の委員が決定しました。しかし、委員選出は一見民主的でしたが、軍政府は沖縄統治に都合の悪い人物、例えば大政翼賛会に関与した者や、本土復帰を主張する者などを事前に排除していました。

「民意代表機関」をめぐって

軍政府は仮諮詢会の目的の一つとして、「民意代表機関」の議論を挙げました。しかし、2回の仮諮詢会では結論が出ず、組織については諮詢委員会に一任されることになりました。結局、民意代表機関の設置は、1950年の群島議会設置まで先送りされました。

諮詢会の機能

行政機能

沖縄諮詢会は、軍政府の諮問機関でありながら、行政機関としての機能も併せ持っていました。発足後すぐに文化部が演芸会を企画したり、社会事業部が多くの職員を抱えたりするなど、その活動は活発でした。諮詢会委員は熱心に活動し、時には米軍側と摩擦を生じることもありました。

立法機能

諮詢会は、土地所得権認定措置法、所得税法、戸籍法などを検討しましたが、その重要な部分は米軍政府によって管理されました。

沖縄諮詢会委員一覧

選出された15人の委員は以下の通りです。

志喜屋孝信（委員長）
松岡政保（幹事兼工務部長）
又吉康和（総務部長）
大宜見朝計（公衆衛生部長）
前上門昇（法務部長）
山城篤男（教育部長）
當山正堅（文化部長）
仲宗根源和（社会事業部長）
安谷屋正量（商工部長）
比嘉永元（農務部長）
仲村兼信（保安部長）
知花高直（労務部長）
護得久朝章（財務部長）
平田嗣一（逓信部長）
糸数昌保（水産部長）

まとめ

沖縄諮詢会は、沖縄戦後の混乱期において、米軍政府と沖縄住民の意思疎通を図る上で重要な役割を果たした機関です。行政・立法機能も担い、その後の沖縄の統治体制の基礎を築きました。

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