地方開発事業団

地方開発事業団とは

地方開発事業団は、かつて日本に存在した特別地方公共団体の一つです。複数の普通地方公共団体が共同で設置し、地域全体の総合的な開発計画に基づき、公共事業を総合的に実施することを目的としていました。しかし、2022年3月31日に最後の事業団が解散し、その歴史に幕を閉じました。

設立の背景

地方開発事業団の制度は、1963年の地方自治法改正によって導入されました。当時、新産業都市の建設や工業整備特別地域の整備など、広域的かつ総合的な地域開発が求められていました。これらの開発には、複数の地方公共団体が連携し、長期的な視点での事務処理が必要とされたため、そのニーズに応える形で地方開発事業団が設立されました。

制度の変遷と廃止

昭和30年代から40年代にかけて各地で設立された地方開発事業団ですが、その数は多くありませんでした。その後、ほとんどの事業団が解散し、2009年時点ではわずか1つの事業団が存続するのみとなりました。その理由として、以下の点が挙げられます。

事業団が行える事業が法律で限定されていたこと
受託した事業が完了すると解散しなければならなかったこと
施設の建設のみが可能で、完成後の管理はできなかったこと
単独の地方公共団体では設置できなかったこと

これらの要因から、地方開発事業団の制度は十分に活用されず、2010年には総務省から廃止の提言がなされました。そして、2011年の地方自治法改正により、事業団に関する規定が削除され、新規の設置は不可能となりました。既存の事業団は経過措置により存続していましたが、2022年までに全て解散しました。

一部事務組合との比較

地方開発事業団と類似した制度として、一部事務組合があります。どちらも複数の地方公共団体が連携して事務を行うための制度ですが、いくつかの点で違いがあります。

事業内容

一部事務組合は、地方公共団体の事務のうち、任意のものを共同で処理できます。一方、地方開発事業団が委託を受けられる事業は、法律で限定されています（住宅、工業用水道、道路等の施設の建設や、それらの用地取得・造成、土地区画整理事業に係る工事）。また、事業団は複数の事業を総合的に実施することが想定されています。

組織

一部事務組合は、議員で構成される議会と、管理者などの執行機関を持ちます。一方、地方開発事業団は議会を持たず、理事長と理事で構成される理事会が運営を行います。また、一部事務組合は独自の職員を採用できますが、事業団の職員は、設置する地方公共団体の職員が兼務する形となります。

財務

一部事務組合の予算は議会の議決を経て成立しますが、事業団の予算は理事会の議決で成立します。また、事業団は単一予算主義の原則が適用されず、予算の繰越し条件も緩和されています。

まとめ

地方開発事業団は、特定の時代背景のもとで生まれた制度であり、その役割を終えて廃止されました。しかし、その設立の経緯や一部事務組合との比較を通じて、地方自治制度の多様性や、時代の変化に応じた制度の見直しの必要性を学ぶことができます。

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